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秀子の応援団長

1940年、南旺映画、高田保原作、山崎謙太脚本、千葉泰樹監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

秋のリーグで、巨人軍と対戦中のアトラス軍は、かつて大黒柱だった大川投手が出征しているで、新人の人丸投手(灰田勝彦)が登板していた。

しかし、スタルヒンや水原を擁する巨人軍との力量の差は明らかで、アトラス軍は最下位に甘んじていた。

そんな試合の実況をラジオで聞いてやきもきしているのは、アトラス軍の高島二郎監督(千田是也)の家族達。

おばあちゃんや娘のゆき子と一緒に憂い顔なのは、いとこの女学生、秀子(高峰秀子)だった。

そこへ、秀子の母親(沢村貞子)から、謡のお稽古をしに帰って来るように電話がかかって来る。

秀子からの哀願を聞いて、電話で弁護してくれるおばあちゃんに対しても、教育熱心な母親の強圧的な態度は変わらない。

秀子の父親で長男の一郎(小杉義男)の経営する鉄工所の景気が良いものだから、妻もごう慢になってきていたのであった。

近所の子供達と野球に興ずる秀子の姿を見かけた父親一郎も、秀子に説教する始末。

そんな秀子だったが、ある日、ゆき子と一緒にアトラス軍の練習場へ出かけ、二人が作った応援歌を披露する。

後日、その応援歌を教え込んだ近所の子供達や、学校のクラスメイト達と合流して、後楽園に集合する計画の秀子だったが、あいにく、その日は謡の稽古の日。

しかし、その謡の先生も野球好きと知った秀子は、相手を説得して、一緒に後楽園に応援に出かける。

その合同応援を受けた試合に勝った事がきっかけとなり、それからは、彼女達が応援に来た試合は、面白いように勝ちはじめるアトラス軍。

秀子の姿は、アトラス軍の勝利のマスコットとして新聞にも載ってしまう。

その事を知った一郎の会社の野球チームの連中は、間もなく行われる「第三回東京工業連盟野球大会」に、社長の一郎自らに始球式をやってもらい、娘の秀子にも応援に来て欲しいと社長室に依頼しに来るが、野球なんかに興味のない一郎は相手にもせずに追い返してしまう。

しかし、その直後、大きな取引相手である亜細亜鋼管の社長底谷から、野球の話題を振られた一郎は、自分も大の野球好きであると嘘をつき、まんまと仕事をもらう事に成功する。

しかし、当の秀子はといえば、アトラス軍が勝ちだしたのは、自分達の応援のせいではなく、チーム自身の底力のおかげだと醒めてきていたのだった。

そんな中、いよいよ勝ち進んだアトラス軍は、浪花軍との決勝戦を迎えるのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

屈託のない少女時代の高峰秀子を主役にした明るい野球映画。

本物のスタルヒンや水原をはじめ、当時の他の野球チームの姿も登場する所がすごい。

「男の純情」を劇中で歌っている歌手の灰田勝彦のピッチャー姿も、なかなか様になっているし、監督役の千田是也もそれらしく見える。

しかし、何といっても、本作で印象的なのは、高慢ちきで嫌な母親役を演じている沢村貞子。

全体的に、おおらかなキャラクターばかりが登場する中、一人、シリアスなキャラクターが目立っている。

クライマックスも、ちょっと、ひねった演出になっている。