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バッタ君町に行く

原題は「Hoppity Goes to Town」

1941年に作られた、フライシャー兄弟としては「ガリバー旅行記」(1939)に次ぐ長篇アニメ。
製作がマックス・フライシャーで、監督がデーブ・フライシャーの兄弟。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

町の片隅にある小さな空き地、道路との垣根が壊れているため、最近は、人間たちがしょっちゅう侵入してきては、空き地で生活していた昆虫たちを困らせていました。

今日も、煙草に火をつけた紳士が、火のついたマッチをそのまま空き地にポイ捨てしたものですから、てんとう虫のデイバックおばさんの家が火事になってしまいました。

みつばちのバンブル老人が経営する食堂に集まっていた昆虫たちは大騒ぎ!

このままでは、自分達が住む所がなくなってしまうと心配します。

その言葉を遠くからこっそり聞いていたのが、蠅のスワットと蚊のスマックの凸凹コンビ。

さっそく、空き地よりは高い場所に暮していたボスのかぶと虫、ビートル親分に御注進に駆け付けます。
親分は、バンブル老人の可愛い娘、ハニーちゃんと、何とか結婚したがっていたのでした。

しかし、ハニーには、かねてより思いを寄せるホピティというバッタがいたのでした。

そのホピティが、長旅から故郷の空き地に帰ってきました。

ビートル親分は、ホピティの歓迎で賑わう食堂めがけて、落ちていた葉巻きを転がします。

葉巻きの火が食堂の屋根に燃え移りそうになり、昆虫たちは大パニック!

少し慌てん坊のホピティと、ハニーの弟で、ミツバチ・スカウト(ボーイ・スカウトのミツバチ版?)に入ったばかりのブンブンが活躍して、ドタバタの末、どうにか事態はおさまります。

その後、ホピティとハニーは、道路の下の空間に出来ている昆虫たちのナイトクラブに出かけて、仲睦まじく踊りを楽しむのですが、その様子を、またオーバーにスワット、スマックがビートル親分に御注進。

しかし、昆虫たちの平和な暮らしも長くは続きませんでした。

子供達が、空き缶を使ったクリケットをしながら空き地に乱入。

昆虫たちは本気で引っ越しを考え、隣の人間が住む庭が候補に上がります。

取りあえず、バンブル親分と一緒に様子を見に行ったホピティは、優しそうな女性が住んでいるので、これは大丈夫そうだと、全員を誘って引っ越しをするのですが、その女性が使ったスプリンクラーが原因で、庭は大洪水状態、せっかく苦労して越してきたばっかりだった昆虫たちは、全員ずぶぬれになって元の空き地に流されてしまうのでした。

すっかり仲間達からの信用をなくしたホピティは、傷心のまま、空き地を離れ、隣の人間の家に近づいた所、あの優しい女性の夫らしき男性がピアノを弾いているではないですか。

ディック・ディケンズというその男性、新進作曲家らしく、この曲が売れてレコード会社から小切手が送ってきたら、壊れている垣根を修理しようと話している声が聞こえます。

喜んで、その事実を仲間の元へ知らせに帰ったホピティでしたが、その話を知ったビートル親分は、スワットとスマックに、配達されてきた小切手入りの封筒を盗ませ、その結果、ディケンズ夫妻が家を立ち退かされて、自分も住んでいたその跡地に高層ビルが建設されると知るや、何くわぬ顔でその土地を昆虫たちに譲り渡すといい、その代わりに、ハニーとの結婚を承諾させるのでした…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

人間たちはリアルなタッチ、昆虫たちはいかにも可愛いキャラクターに描き分けられ、数々の楽しいアイデアの連続で楽しませてくれる。

圧巻なのは、後半、もし、小切手さえ手に入っていたら、この建設中の高層ビルの屋上に、新しい家を作るんだが…と呟いた、ディケンズ夫妻の言葉を聞いたホピティが、隠されていた封筒を見つけだし、再び、夫妻宛に届くようにすると、仲間達に、あの高層ビルの上に、自分達の新しい住処があると宣言して、全員で、建設中のビルをどんどん登っていくシーン。

次々に繋ぎ合される鉄骨、打たれていく熱い鋲、積み上げられていくレンガ、その大工事の狭間をすり抜けていく、昆虫たちのスリリングな大移動が、驚異的な表現力で描写されている。

とにかく、きれいで、可愛くて、楽しい、ディズニーアニメとは、又ひと味違った魅力に溢れた作品であり、宮崎駿はじめ、この作品の影響を受けた日本のアニメ作家は数知れない事でも有名。

アニメファンだけではなく、広く一般の人々にもお薦めしたい名作中の名作。