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里見八犬伝 完結篇 暁の勝鬨

1954年、東映京都、滝沢馬琴原作、村松道平脚本、河野寿一監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

石浜の城主、馬加大記(清川荘司)を討った七剣士の前に駆け付けてきた、領主、千葉自胤の大軍は、実は大記の謀反を知り来たもので、剣士達と敵対するものではなかった。

七剣士の武勲を聞き、自分の下で働かぬかと誘う自胤であったが、そんな彼らの前に里見から到着したのはゝ大法師(荒木忍)とまだ7歳の犬江親兵衛(小崎正彦)であった。

ここに、八剣士が全員揃ったが、ゝ大法師は占いによって、まだ里見の家を助ける時期ではないと告げる。

さらに、浜路の生い立ちを聞いたゝ大法師は、彼女こそ、里見の城の姫君である事を教えるのだった。

その後、網乾左母二郎(小柴幹治)は、里見義成(原健策)と敵対するものの、今や旗色の悪くなった霞谷の館山城主の〆之助から招かれて仕官するが、〆之助の奥方、夕顔(朝雲照代)の魔法によって、〆之助は敢え無く頓死。

変わって、夕顔の情夫的存在だった左母二郎が、あっさり館山の城主におさまる事になる。

実は、その夕顔こそ、800年間も生きている魔女であり、伏姫に犬の八房を近付けたのも、彼女の仕業だったのである。

さらに、夕顔は、左母二郎の表面上の嫁として、里見の城で平和に暮すようになった浜路を手に入れるため、嘘の講和締結でおびき出した幼い里見義通を誘拐してしまう。

窮地に陥った里見義成から事情を聞かされたゝ大法師と八剣士は、今こそ、お家の大事とばかり、一斉に立ち上がるのだった。

目指すは、宿敵、網乾左母二郎の待つ館山城。

弟を助けるため、人身御供となって旅立つ浜路に寄り添うのは、女装した犬飼現八(中村錦之助)!

女だけとの条件で通された城の中で、正体を現し、魔女夕顔に立ち向う現八。

さらに、荷物に隠れ潜んでいた犬塚信乃(東千代之介)も出現し、憎っくき網乾左母二郎に立ち向かうのであった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

正直いおう。
いくら子供向け、原作をまんま映像化するには長大すぎるという事情があったにせよ、この大団円はないのではないか?

不思議な珠を持って集結した八剣士。
この五部作では、前四作を費やして、その課程を延々と描いてきたのである。
彼らが集まったのは、何か大きな目的があるに違いないと、誰もが期待に胸を膨らませて、本作を観たはずである。

しかし、その最終目的が、人の女に横恋慕してしつこいストーカー男をやっつける事だったとは…。

原作では、壮絶な大戦があるようなのだが、本作では、その片鱗すら描かれていない。

途中、随分、大人向けとしか思えないような危ないシーンが用意されていたにしては、結果はあっけないというか、正に「子供騙し」。

しかし、同時に、東映らしいなとも感じる。

最後に「死の谷」に八剣士が揃う所は、戦隊シリーズに繋がるお馴染みのパターンだからである。
時代劇だけに、大袈裟な爆破シーンがないだけ。

夕顔が魔法を使う前に踊る、東南アジア風の珍妙な踊りは、今でも十分笑える。
最後にいきなり登場する黒幕にしては、あまりにも弱すぎるのが難だが…。

一作ごとに評価すればもの足らないが、前作通して観れば、それなりに見ごたえ感のある五部作といえよう。

本作を観て、ものすごく気になるのは、里見義通を演じている子役。

目黒祐樹のように見えるのだが…。

もしそうだとすると、彼は1959年版の「里見八犬伝」にも、1983年の角川映画版「里見八犬伝」にも、全て出ているという事になる!