美人ディスクジョッキーが遭遇する事件から始まり、その1年後、5年後と、人間そっくりのロボット「ブーマ」が絡んだ3つの事件が描かれている。
事件を担当するのは、A.D.ポリスの裏組織「ブランチ」のメンバーで、過去のあるバズ・ニクベストとブーマである相棒のキンボール、さらに紅一点マイケルソン、コンピューターの解析に成熟したマイヤーズ。
さらに、謎の美女エンジェルなども、バズに協力している。
いってみれば、「ブレードランナー」の世界観を日本風にアレンジしたアニメなのだが、正直、かなり「薄味」である。
予算の関係もあるのだろうが、ビジュアルにしても、ストーリーにしても、全体的にちょっと物足りなさを感じる。
ハードボイルドタッチというには、ちょっと、バズの造形が弱く、全体的に生活感も希薄、さらにオムニバス形式で個々のストーリー自体が短い…などという事もあり、本作品を観る限り、あまり成功しているとはいいがたい。
あくまでも、ムードだけは…という事なのだろう。
三つのエピソードの内、一番見ごたえがあるのは、まん中の「高級コール・ガールブーマ、イブの物語」だと思われるが、これも、どこかで観たような感じがしないでもない。
イブが観る幻影、弾んで来る赤いボールと少女のイメージは、「世にも怪奇な物語」(1967)のフェデリコ・フェリーニ監督篇から来ているのではないだろうか?
その部分だけではなく、全体的に、有名な過去の作品へのオマージュというか、そっくりシーンが散見され、それが、観客サービスと感じるよりも、オリジナリティの欠如という風に感じてしまう要因になっているように思える。
本作自体の確固たるオリジナルイメージが弱いためだろう。
作画は丁寧だが、動きは普通。
特にスクリーンで観なくては…という程の密度ではない。
ビデオやDVDでの観賞で十分だろう。
