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快傑黒頭巾 爆発篇

1959年、東映京都、高垣眸原作、小川正脚本、松村昌治監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

安政6年6月、貿易港として栄えていた横浜から物語は始まる。

艶歌師の与作(大友柳太郎)と友之助(松島トモ子)が、路上で「♪かんかんのう〜」を唄っていると、御上を愚弄する内容であると、岡っ引きのまむしの権次(山茶花究)と手下の辰(堺駿二)が因縁を付けて来る。

しかし、その直後、異人館のゴーラム博士(薄田研二)を薩摩の益満休之助(加賀邦男)が訪ねてきたとの知らせがあり、権次らはそちらへと向う。
益満は、館で待ち受けていた新撰組の市中見廻組隊、高崎剣次郎(原建策)に捕まってしまう。

その異人館内部では、外国奉行などを兼任する水野主膳(山形勲)が、ゴーラムから「液体火薬」と、不思議な金属製の本を見せられていた。
その本は、ゴーラムの先祖で、豊臣秀吉の御典医として仕えた後、帰化したアンドールが、大阪城落城の際、豊臣家の財宝を隠した在り処を示した地図だという。

しかし、その図面は、折から、茶を運んできたインド人のオンリーによって持ち去られてしまう。
そのオンリーこそ、黒頭巾の変装した姿であったのだ。

さらに、投獄されていた益満休之助ら薩摩の武士や地理学の権威、山鹿士行(明石潮)ら全員が、やはり黒頭巾によって解放されてしまう。

その頃、長家住まいの与作は、親の借金を返すために、料亭「ふなまさ」で働いているお美津(花園ひろみ)、その弟の友之助、まだ幼い妹のお千代らを浅草に送りだした後、自らは八卦見の天命堂に変装し、町人新兵衛に化けている所を見破られ、権次らにつけられていた長州の手塚新次郎(尾上鯉之助)と接触し、注意を促すのだった。

地図を見た山鹿士行によると、問題の財宝の在り処は、信濃の白馬岳らしいという。

益満ら一行は信濃に向うが、待ち伏せていた新撰組に山中襲われてしまう。
手傷を負い川に落ちた益満を救ったのは、山に暮す、歌の上手な娘(五月みどり)であった。

捕らえた山鹿士行の口から、宝の在り処を知った高崎ら見廻組隊員たちは、雪山の洞窟内から宝を見つけるのだが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

シリーズ8作目でありながら、東映時代劇全盛の頃の勢いを感じさせる、子供ものとは思えない程大掛かりな作品で、大人の観賞にも十分耐えられる娯楽作になっている。

黒頭巾とは、背中に刀、腰に二丁拳銃を付けた忍者風の出で立ちのヒーローで、日頃は大道芸をする子供の友之助を従えている所や、新撰組と戦う所などからしても、おそらく大仏次郎原作の鞍馬天狗がベースになっているものと思われる。

変装を得意とする所は、怪人二十面相や多羅尾伴内を意識したものか?

本格的な雪山ロケ、海に浮かぶ実物大の海賊船などが登場する所が凄い。
まるで「時代劇版インディ・ジョーンズ」である。

広大な町並みのセットの中、夜の闇を背景に、屋根の頂上に姿を現す黒頭巾の姿は、かっこいい!の一言。

茶髪のゴーラム博士役、薄田研二が、後半、船の船底に積んだ「液体火薬(ニトログリセリン)」を扱うため、黒いマントと鉄仮面のようなものを冠り、何やら「スター・ウォーズ」のボバ・フェットというか、「空想科学風」ファッションになるのも見所。

長家の住民で、三枚目役として登場するのは、若き日の「いとこい師匠」(夢路いとし、喜味こいし)。

手塚新次郎と好き合いながらも、ゴーラムから横恋慕されてしまうヒロイン役のお美津を演じる花園ひろみは、山城新伍の元奥さんである。

水野主膳の息のかかる幕府の隠密であるため、黒頭巾の正体を探る使命と、彼に惚れてしまう気持ちの板挟みにさらされるお藤(青山京子)の役所も興味深い所である。