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やくざ坊主

1967年、大映、高岩肇脚本、安田公義監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

荒れ寺にふらりと現れたひどい身なりの坊主、竜全(勝新太郎)、寺男の権六(多々良純)がとがめるのも聞かずに、勝手にその寺の住職として居座る。

たまたま、寺を舞台に、昇天組と蛇の目組という敵同士のヤクザ一味が喧嘩を始めたのを幸いに、竜全は、一挙にその両方の組頭を殺害して、組そのものを潰してしまう。

地元で商売をしている、足の悪い勘助(渡辺文雄)は、竜全の活躍を感謝しに来る。

ところが、竜全は、寺を連れ込み場所として男女に提供し、その現場を隣の部屋から覗かせる商売も始める。
さらに、あろう事か、終いには、寺で賭場まで開帳し、儲けた金を、自分は女郎屋のお辰(小川真由美)に貢いで気を引こうという有り様。

あまりの所行に、権六も口が出せないどころか、ついつい竜全のいうがままに。
知らずに、そんな寺へ忍び込んできた島抜け男、三次(山本一郎)も、脅すつもりが逆に脅されて、寺の手伝いをさせられる始末。

そんな竜全の悪業を静かに観察していたのが、ライバルの組がなくなって、一挙に存在感が増したヤクザの井桁の大八(小松方正)。

彼は妾のおえん(久保菜穂子)を、秘かに寺の賭場へ差し向け、竜全たちの様子を探らせるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「飲む打つ買う」の三拍子揃った破壊僧を主人公にした、ハチャメチャなピカレスク時代劇。

一応話の背後には、地元を支配する謎の人物をあぶり出すという「謎とき趣味」も混じっており、ひたすら勝新の暴れっぷりを楽しむ前半部分から、ひねりの用意された後半へと流れは作られている。

「頭」と呼ばれる、井桁組の用心棒的存在を成田三樹夫が演じているのも興味深い。

この辺は、やはり座頭市シリーズを意識した配役か?

坊主ととろろが大嫌いという、勝ち気なお辰を演ずる小川真由美、お色気で竜全を篭絡しようとするおえんを演ずる久保菜穂子も印象的。

気が小さい癖に、人一倍、欲深く、俗っぽい性格の権六を演ずる多々良純も注目したい。

お色気と博打と喧嘩という、いかにも俗っぽい見せ場で構成された作品ながら、その辺を強引に最後まで観せていく魅力があるのが、勝新そのものの圧倒的な存在感だろう。

冷静に考えれば、とんでもないキャラクターだし、やっている事は言語道断の悪業なのであるが、勝新がやると、何でも笑って許せてしまえそうな気に、どこか、観ている側をさせてしまう所が凄い。

出来としては、まずまずといった所であろうが、痛快無比、理屈抜きに楽しめる通俗娯楽時代劇である。