TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

惑星大戦争
 THE WAR IN SPACE

1977年、東宝映画、神宮寺八郎原作、中西隆三+永原秀一脚本、福田純監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

宇宙空間に浮かぶ正体不明の物体。
部分的なアップが映っても、その全容は分からない。
羽の生えた小便小憎のようなオブジェが倒れ、そこから、球形の円盤のようなものがいくつか飛び出す。

色付きの光りに照らされたスモークが流れるタイトルバック。

地球、国際宇宙局日本支部に、一人の男がアメリカから戻ってきた。
三好(森田健)である。
挨拶した所長の松沢(大滝秀治)と、最近の流星騒ぎの話をする。

内輪だけの歓迎会での席で、旧友の室井(沖雅也)から、滝川ジュン(浅野ゆう子)と婚約したと聞かされた三好、一瞬、言葉に詰まるが、すぐに祝福の言葉を返す。

実は、三好もジュンの事を好きだったのだが、室井も同じ思いを抱いている事に気付いたため、彼に譲るつもりで、自分はアメリカへ旅立ったのだった。

三好は、ジュンの父親である滝川博士(池部良)の自宅に訪ねると、かつて、建造予定だった宇宙防衛艦の完成を促すのだが、博士の姿勢は慎重だった。

世界中で円盤騒ぎが巻き起こり出したある日、宇宙局の通信室では、宇宙ステーション「テラ」に搭乗中の三笠(新克利)が「金星から断続的な連絡がある」「ローマ船」という謎の伝言を残した直後、通信が途絶える。

そんなある日、その滝川博士の自宅に、つい先刻、殺害されたという連絡が入ったばかりのシュミット博士(ウィリアム・ロス)本人が来訪して来る。

シュミットのちょっと仕種から、彼を偽者と見破った滝川は、偶然、訪問してきた三好や室井らの協力もあって、相手を倒す事に成功。
倒されたシュミットもどきの素顔は、とても地球人とは思えぬ不気味なものであった。

いよいよ、本格的に、宇宙防衛艦「轟天」を建設する滝川博士達。
一方、世界中に飛来した円盤の攻撃も激烈さを増し、「轟天」建設中の島も攻撃にさらされる。

しかし、アメリカから到着した元訓練生仲間のジミーを加えたメンバー達は、破壊された基地内から「轟天」を無事発射させる。
群がる円盤をけちらして宇宙空間へ出た「轟天」は、イオンロケットを噴射させ、一路、金星へ。

途中、破壊された宇宙ステーション「テラ」の物と思われる残骸を発見した室井は、独断に探索に飛び出し、そこで発見した三笠の遺体を「轟天」に持ち帰って来る。

しかし、その遺体は、すでに敵宇宙人によって支配されており、ジュンは誘拐されてしまうのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ストーリーだけ追って行くと、そんなに悪くなさそうに思えるが、映像的には、SFというよりも、テレビの刑事物風。

何ともチープなデザインのメカやセットが登場してきて、ファンタジー性を薄めているのが本作の特長。

「スター・ウォーズ」の日本公開を1年延ばし、その前に、似たような作品で一儲けしようという、商魂たくましい意図で急遽作られた便乗作品である。

予算も時間もない中で作られた本作は、「スター・ウォーズ」には似ても似つかない全くの別物。
むしろ「宇宙戦艦ヤマト」のパクりといった方が近いように思える。

円盤の地球攻撃のシーンは「世界大戦争」のフイルムをそのまま使用しているし、全体的に「やっつけ仕事」であるのは明白。

金星に到着した彼らが見たものは、恒星ヨミの第3惑星メシアからやってきた、銀河帝国の支配者ヘルガの操る「大魔艦」であったのだが、そこへの潜入の仕方というのが、またイージーこの上なく、船首部分に鳥の頭をかたどったような飾り物を「一種のエア・ダクト」と推測した三好らは、電光ナイフ一本で金網(?)を切断し、あっさり船内に潜入してしまう。

船内には、ほとんど護衛らしき人員もおらず、角の生えたパチモンのチューバッカみたいな毛むくじゃらモンスターが、彼らを襲うだけ。
そのパチモンチューバッカも、あっさり電光ナイフで倒される始末。

敵も弱いし、スケール感もない。

ないない尽くしの中で繰り広げられる、古臭い「お涙頂戴ドラマ」。

唯一見所といえば、「轟天」の側面から巨大な「リボルバー拳銃」の回転弾倉みたいなメカが張り出し、その穴から戦闘機やビーム砲を発射するのが、マンガチックで面白い程度か。

安っぽいボンデージ風の衣装を身に付けた若き浅野ゆう子の姿も、今となっては貴重な映像と言えるかも知れない。