1979年、東宝映画、野上英之原案、常盤松太郎+中原朗+白山進脚本、山下賢章監督作品。
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立ち退き要請を最後まで拒否し続け、取り壊しが始まったアパートで、唯一人居座って寝ていた所を大家(由利徹)から叩き起こされたのは、大柄で不敵な面構えの男、岩岩岩岩(いわいわがんがん-河島英五)。
彼は、そのアパートを後にすると、電車で新宿に出、ICSというコンピューターの大会社に、汚い格好のまま、ずかずか入り込もうとする。それを必至で止めようとする守衛(山谷初男)。
実は、この会社では、社長(多々良純)の気紛れ指令で、今年の新入社員の選抜を、最新型コンピューターのA-80に選ばせるという、とんでもない事を行っており、その結果、最優良候補として岩岩の名前が選出されていたのであった。
研修に参加させても、上司のいう事は全く聞かず、どう見ても、働く気力などかけらも見当たらない岩岩なのだが、社長命令での採用とあれば、誰もがおいそれと彼を首にできない。
困り抜いた重役達は、彼を長曽我部軍団といわれる営業部門に在籍させる事にする。
アメリカから戻ってきたやり手部長の長曽我部を迎えた岩岩は、他の新入社員達と一緒に、先に長曽我部宅に廻ると妻、かおる(真屋順子)に挨拶するが、どうした訳か、誰にも気付かれないまま、岩岩は、ずうずうしくも、勝手にその家に上がり込み、風呂に入った後、夫婦の寝室で酒を飲み、そのまま寝てしまう。
遅れて帰宅した長曽我部が、我が家の寝室で見たのは、その岩岩をベッドから起こして、服を着せていたの姿であった。
必死に弁解する妻、狼狽しながらも冷静を装おおうとする長曽我部。
そんな中、一人悠然としていたのは、岩岩本人だけであった。
そんな岩岩は、ある日、会社のエレベーターで、理想的な女性、秘書課の江川雅子(多岐川裕美)を見かけ、一目で夢中になってしまう。
彼の我がままを止められる者は誰もいず、結局、岩岩は希望通り、秘書課へ移動させられるのだが…。
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ナンセンスマンガでも読んでいるような破天荒なストーリー。
脇役陣も充実しており、はかま満緒のギャグアイデアなども盛り込まれ、それなりのコメディになっていてもおかしくはない内容なのだが、いかんせん、主役がズブの素人。
一体、どういう目的でこの映画が企画されたかが、まず分からない。
単純に、歌手の河島英五を売り出すためだったのだろうか?
確かに、彼のヌーボーとした風貌を最大限に生かしたキャラクターにはなっていると思う。
しかし、いくら何でも、セリフは棒読み、表情も全くなく、ただ突っ立ているだけの人物を主役にコメディは辛い。
結果的に、この映画に出る事で、河島英五にとって何かメリットがあったのであろうか?
それでも、劇中のエピソードの一つ、外回りの営業をやらされた岩岩が、一軒の魚屋(田中邦衛)に目を付け、1システム数億はするというコンピューターを買ってくれとストーカー的行為と言える程しつこく迫り、とうとう、その魚屋は気が変になってしまうという件などはおかしい。
こういうパワフルなナンセンスで、全編突っ走ってくれたら、もっと面白くなっていたようにも思えるのだが、後半は、不器用な男の純愛物語みたいになってしまい、ナンセンス度が落ちてしまうのが惜しまれる。
研修のため訪れた禅寺の僧に草野大悟、毛利専務に金子信雄、山村秘書課長に小松方正、細川人事部長に大坂志郎、大野営業部長に河原崎長一郎、雅子の婚約者、西園寺英彦に沖雅也…と、多彩な出演者たちである。
インベーダーゲームが流行っていた頃の作品なのだが、まだ、パソコンなどはなく、コンピューターが、まだまだ一般生活からは遠い存在だった事を、改めて思い出させてくれる貴重な作品ともいえよう。
