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隠密剣士

1964年、東映、小林利雄+西村俊一原作、伊上勝脚色、船床定男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

譜代大名の行列を襲う忍者の群れ。

江戸城では、松平定信(加賀邦男)ら三人の老中達が、最近頻発している大名襲撃事件を話し合っている。

どうやら、背後に尾張藩が動いているのではないかと推測されるのだが、確たる証拠がない。

彼らは、公儀隠密伊賀組の組頭、高山太郎左(品川隆二)から、尾張に潜入させた配下の者が、証拠を手にいれて江戸に向っていると知らされる。

しかし、江戸に到着した伊賀者は、甲賀竜四郎(天津敏)を頭領とする甲賀13人衆の手によって襲われていた。
が、その伊賀者は替え玉だったと気付く。

その頃、川船で釣をしていた秋草新太郎(大瀬康一)と周作(竹内満)の二人は、甲賀忍者に襲われて瀕死の伊賀者を救い上げる。

その忍者は「蜘蛛の水糸」という謎の言葉を残して息絶える。

その後、甲賀者の襲撃を受けた新太郎達は、伊賀三の組、霧之遁兵衛(牧冬吉)と名乗る忍者の助太刀もあって無事、危機を脱した後、守備良く謎の言葉の意味を知り、幕府転覆の連判状を手に入れる。

尾張家の陰謀を知った松平定信は、早速、高山太郎左をはじめとする伊賀忍者達を尾張に差し向けるのだった。新太郎と周作も同行する事に…。

しかし、組頭の太郎左は、いきなり、竜四郎らの襲撃を受け死亡。

やむなく、組頭代行の形となった遁兵衛ら、残りの伊賀者たちは、そのまま尾張への旅に出かける。

東海道を旅する新太郎と周作は、途中の茶店で、道中手形の入った荷物を盗まれて難儀しているという、おけい(藤純子)という娘を同行者として付いて来る事を許すはめになる。

実は、その娘こそ、本当の正体は、甲賀の放ったくノ一、霞であった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

将軍家斉の腹違いの兄 、秋草新太郎を主人公にした人気テレビシリーズの映画化作品。
この番組が元で、当時の子供達を中心に、空前の「忍者ブーム」が巻き起こった事は有名。

見所は、品川隆二と藤純子が出演している所。

品川隆二は、同年、テレビ版「忍びの者」の主役、石川五右衛門を演じ、人気の絶頂だった人、この後、近衛十四郎と組んだテレビ時代劇「素浪人 月形兵庫」での焼津の半次役でさらなる好評を得る事になる。

藤純子は、前年にデビューしたばかりの、当時18才くらいの新人時代。

ヒーローを支える少年と牧冬吉、敵の頭領が天津敏。
又、各々秘技を持った複数の忍者たちが互いに戦うというパターンは、この後、映画版「伊賀の影丸」などを経て、テレビの「仮面の忍者 赤影」などに継承される事になる。

冒頭から、火薬を使った派手なシーンの連続。
手裏剣、撒きびし、足に付けて水の上を渡る「水くも」などの、忍者用具が次々に登場するのも楽しい。

テレビ出身の監督という事のためか、はたまた、子供向けというもあってか、当時の時代劇としては、見せ場も多く、テンポも早い演出だと思う。

又、剣と剣がぶつかりあうと火花が出る効果や、トランポリンを使った跳躍などの技術が、すでに使われていたり、子供向け作品であるにもかかわらず、首や手足が斬られたり、血が吹き出す描写が盛り込まれている事などにも注目したい。

ただ正直な所、テレビ映画と通常の映画の中間くらいの手間と予算で作られてような感じで、スケール感にやや欠けるようにも思えるから。

よって、当時のテレビシリーズを知っている人が観れば、それなりに満足感もあるだろうが、この作品で、始めて「隠密剣士」の世界に触れる人には、もの足らない内容かも知れない。

あくまでも、テレビの「番外編」くらいの気持ちで観る事をお薦めしたい。