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日蓮と蒙古大襲来

1958年、大映、渡辺邦男+八尋不二脚本、渡辺邦男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

叡山はじめ、日本中の寺で修行して、12年振りに生国、阿波の清住寺に戻った蓮長(長谷川一夫)は、満願の朝、登る朝日に向って、自らが「日本の柱にならん!」「日本の眼目とならん!」「日本の大船にならん!」と決意する。

やがて、彼が12の時から子供のように育ててくれた老師、道善(中村雁治郎)や地頭らの見守る前で、現在広く流布している他の宗教の批判を始める。

それを聞いて、いきり立つ地頭ら。
面目を失う老師。

しかし、夜自宅で、蓮長の話をじっくり聞かされた両親だけは、彼の説の正しい事を悟り、自ら、妙蓮、妙日という名前を息子から貰い受け、最初の弟子となる。

蓮妙も又、自宅の庭の池に、深夜であるにもかかわらず咲いた蓮の花を見、自らを蓮のように濁った世の中に例え、日蓮と改名するのだった。

地元を離れ、鎌倉の地に住み着いた日蓮の元に、一人の僧が訪ねてきて弟子にしてくれと懇願する。
日昭(黒川弥太郎)であった。

日蓮は、ただちに弟子にした彼に留守居を頼むと、自らは、辻説法へと出かける。
そして、来るべき天変地異と外国からの侵略の危険性に付いて、庶民達に警告しはじめる。

その言葉を実証するかのように、その後、大地震が起こる。

この災難を布教の口実にされてはと、かねてより日蓮の言動を危険視していた平左衛門尉頼綱(河津清三郎)と、その配下、依智の三郎(田崎潤)は、日蓮を捕らえ、伊豆へ島流しする。

まな板岩に立たされ、後僅かで水没しそうな状態であった日蓮を救ったのは、地元の老夫婦(志村喬、浦辺粂子)であった。

北条時宗(市川雷蔵)が執権の地位に付いた後も、彼の母親と側近の頼綱らの陰謀により、内紛騒動の起こる中、日蓮もとうとう時宗の命令とは裏腹に、龍の口で処刑される事になる。

しかし、処刑場に付く前に、八幡神社に祈念した日蓮の気持ちが天に通じたのか、信徒たちが見守る中、処刑場は一転にわかにかき曇り、日蓮の首を打たんと刀を振り上げた依智の三郎は、雷に打たれ倒れ伏すのだった。

やがて文永11年、ついに蒙古10万の兵が対馬を襲う。

時宗に赦免された日蓮は、博多の地に赴き、そこで、日昭らと共に、外敵降伏の祈念を始めるのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

当時、大映社長だった永田雅一氏が、某宗教の熱心な信者であった事もあって、いくつか作られた宗教的素材を描いた映画の一本。

早い時期から、日蓮に帰依するようになる白拍子の吉野に淡島千景、四条金吾に勝新太郎、その妹萩江に叶順子、その許嫁、比企小次郎に梅若正二、日蓮の父親に千田是也、母親に東山千栄子など多彩な出演者と、クライマックスになる、神風に翻弄される蒙古の船団を描いたシーンなど代表される特撮で観せる大作になっている。

ただ、日蓮を演じる長谷川一夫の力みかえったような熱演をはじめ、全体的に芝居は大仰で大時代な感じがするのも確か。
おそらく、日蓮の20才くらいから40才くらいまでの苦難の月日を、ナレーション、字幕などで補足しながら、一挙に描こうとしているため、途中、かなり単調というか、中だるみ状態になる。

大地震や台風襲来のシーンの特撮は、なかなか見事で、これが、後の「大魔神」などに生かされる事になる。
龍の口での処刑シーンなど、大魔神が登場しないのが不自然に思えてしまう程、その雰囲気はそっくり。

本作での勝新は、あまり目立たないが、時宗役の雷蔵は、はまり役に見える。

女性陣の印象も弱いのだが、あくまでも、本作は長谷川一夫の熱演を観る事だけに主眼が置かれて作られているように思えるだけに、いわばヒーローである彼を際立たせる、憎々しい悪役を演ずる河津清三郎と田崎潤の二人が、一番儲け役なのかも知れない。


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