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足ながおじさん

1955年、アメリカ、ジーン・ネグレスコ監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ニューヨークにある「ヘンドルトン・ギャラリー」から、物語は始まる。
団体客相手に、ガイドが大富豪ヘンドルトン家の所蔵する美術品を紹介している。

コースの最後で、歴代ヘンドルトン家の主人が描かれた大きな肖像画が紹介される。
唯一、ピカソ風に描かれている現在の三代目こそ、ジャービス・ヘンドルトン(フレッド・アステア)といい、そのヘンテコな絵柄が象徴するように風変わりな人物であった。

彼は、所用で訪れたパリ郊外で、自動車が故障してしまい、電話を借りるために、近くにあった「ジャンヌ・ダルク孤児院」の門を潜る。
そこでジャービスは、孤児達相手に歌で勉強を教えていた愛らしい娘ジュリー・アンドレ(レスリー・キャロン)を見かけ、たちまち一目惚れしてしまう。

さっそく、彼女を養子にしたいと知人に相談するが、相手が18才では無理だと呆れられる始末。
諦め切れないジャービスは、後見人として奨学金を渡し、彼女を自分が創立したアメリカの大学に招聘する事にする。

降って涌いたような幸運に戸惑いながらも夢を膨らまし、ウォルストン大学に入学したジュリーは、約束通り、月一回、一度も会った事がないミスター・ジョン・スミスなる後見人宛に手紙を書き続ける。

孤児院で、子供達がチラリと見かけたという相手のイメージを膨らませたジュリーは、後見人の事を「足ながおじさん」と呼んで、いつか会える日を心待ちにするのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

中年男性と可憐な少女の恋物語をミュージカルで表現した作品。

フランスで登場する人物達が、全員、当然のように英語を喋っていたり、父と娘くらい年齢差がある二人の恋が、あっさり成就してしまう御都合主義的な内容ではあるけれど、そこはミュージカル特有の「夢物語」として楽しみたい。

何といっても、アステアとレスリー・キャロンの、見事なダンスシーンの数々が見所。

歌って踊れて、芝居ができる…、多くのタレント達が願う理想像だが、残念ながら、日本の映画界には、これだけの才能はいない。

ミュージカル風の映画は、日本にも過去いくつもあるが、やはり、アステア達の世界とは似ても似つかぬものである。
やはり、この世界は、ハリウッドの独壇場というべきであろう。

一見、ジュリーの夢の実現というのが、全て「金」でかなっている風に見え、結局、女性の最大の幸せは「金持ちと結婚する」という事なのか?という疑問も涌かないではないが、最終的には、彼女は、ジャービスの人柄に惚れたという風に解釈したい(ただ、ジャービスののんきで寛容な性格や、踊りのうまさなども、やはり金持ちだからこそ身につける事が出来たものという見方もできようが)。

もともと、アステアとレスリー・キャロンの年齢差でロマンスを成立させるためには、根本的な無理があったため、こういう筋立てにするしかなかったのだろう。

ミュージカルに、格別複雑な筋立てなどは必要ないとはいえ、ジャービス側のあまりにも波瀾のなさが、やや、ロマンスとして単調に見える弱点といえるかも知れない。