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座頭市と用心棒

1970年、勝プロダクション、子母沢寛原作、吉田哲郎脚本、岡本喜八脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

雨の中、又しても追ってきたヤクザを斬り、後悔する市(勝新太郎)は、生き地獄のような現実から抜け出したく、2、3年前に訪れた平和な村を思い出していた。

梅の香、そよ風、せせらぎ…、しかし、幻想を抱いて市が再び訪れた村の様子は一変していた。

馴染みだった鍛冶屋の留吉(常田富士男)が鍛えているのは、農具ではなく刀。

村は、すっかり、小仏の政五郎(米倉斉加年)の一家に牛耳られており、そこに雇われていた用心棒(三船敏郎)は、市に賞金がかかっている事を聞き、興味を覚える…。

時代劇ファン待望、「勝新座頭市」と「三船用心棒」夢の対決映画である。

一応、勝プロの作品だが、岡本喜八監督が東宝出身であるせいか、何となく、配役が東宝っぽいのが特長。

今や、すっかり飲み屋の酌婦に成り果ててしまった梅乃(若尾文子)を軸に、その梅乃に気のある用心棒と
かつて、彼女に受けた親切が忘れられない市は、互いを「ばけもの」「けだもの」と罵りあいながらも、胸の内では理解しあって行く。

凶状持ちとして、一旦は岡っ引きの馬瀬の藤三(草野大悟)に捕らえられた市であったが、生糸問屋の烏帽子屋弥助(滝沢修)の口利きによって釈放される。

実は、政五郎は、彼、弥助の息子だったのである。

自分の隠し金を狙っている息子に対抗するため、政五郎は、市を手なずけるのと同時に、江戸から、九頭竜(岸田森)という凄腕のヤクザを呼び寄せる。

2年前の飢饉の時、村にあった僅かばかりの貯えを狙って集まってきたヤクザを、うっかり村に入れてしまったがために、130人もの村人を虐殺されてしまった事の責任を感じ、今や、100体以上の石地蔵を刻む事で供養をしていた、棺桶屋の兵六じいさん(嵐寛寿郎)、牢で知り合い、すっかり市に惚れ込んでしまう三下ヤクザの余吾(寺田農)、江戸の金座に勤める弥助の次男、三右衛門(細川俊之)などが登場してきて、話は、大掛かりなヤクザ同士の喧嘩騒ぎの背後に隠された核心に近づいていく。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

何やら「用心棒」(1961)を意識したような展開になるのが御愛嬌だが、本作では、さらに別の要素も加わっており、話としては、かなり入り組んでいる。

基本的には、ゲストの三船を立てるような扱いになっており、座頭市の方は、かなり肥満している勝新の風貌も相まって、主にユーモア部分担当のような感じで、シリーズお馴染みの、胸の空くようなアクションはやや影を潜めている。

悪役が全体的に線が細く、迫力不足なのも、物足りなさを感じる原因の一つかも知れない。

決してつまらない訳ではないが、座頭市シリーズとしては、かなり異質なものを感じる作品となっている。

あくまでも、ファンへのサービスとしての「番外特別編」と理解して、観るべき作品だろう。