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少年探偵団 鉄塔の怪人

1957年、東映東京、江戸川乱歩原作、小川正脚本、関川秀雄監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

「少年探偵団 かぶと虫の妖奇」の後編に当たる。

警視庁の中村捜査課長(須藤健)は、電波管理局を通じて、第8チャンネルの電波を発信している怪人二十面相の本拠地を、東京から100km圏内とまでは絞り込むが、それ以上の手がかりをつかむ事ができないでいた。

その頃、かぶと虫ロボットにさらわれて二十面相の隠れ家に幽閉されていた団長の小林少年他、相川君、植村君ら4人の少年探偵団員たちは、何とか、そこの壁を壊し、一旦は脱出に成功したかに思えたが、小林以外の団員たちは再び二十面相の手下らによって捕まってしまう。

唯一人、脱出に成功した小林少年は、近くを通りかかったトラックに乗せてもらい、明智小五郎(岡田英次)の事務所に帰り付くと、二十面相の隠れ家は、羽田近くの空き地と知らせるが、その隠れ家からはすでに10台のかぶと虫ロボットが町中に出撃した後だった。

二十面相の狙いを勘付いた明智は、原宿の吉川博士邸に緊急電話を入れるが、時すでに遅し、電話から聞こえてきたのは、かぶと虫に襲われた吉川博士の娘、芳江(小宮光江)の悲鳴であった。

かぶと虫ロボットに、博士や多くの少年探偵団員達をさらわれてしまった明智と中村捜査課長が苦慮している所に、かぶと虫を観たという老人(加藤嘉)が出頭して来る。

その老人も又、二十面相の変装であったのだが、彼を伴って目撃地点に到着した中村らは、一瞬早く罠だと気付き、一味の襲撃を逃れる。

やがて、今度は、警官に化けた二十面相が相川博士に接近し、八王子にある上洛寺という寺へ、原子炉の設計図を持って来いと命ずるのだった。

話を聞いた明智は、自らが相川博士に変装して、上洛寺の地下にあった秘密基地に潜入するが、独断で忍び込んだ助手のマリ子が一味に見つかってしまい、それを盾にまんまと逃げられてしまう。

しかし、同じく、現場で張り込んでいた小林少年は、一味の車の後部トランクに身を潜めると、敵の本拠地である「鉄塔王国」の場所を見つけだすのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

小型自動車ほどの大きさのかぶと虫ロボットがゾロゾロと10台も登場したり、二十面相におびき出された明智や中村たちの車が、仕掛けられていた爆薬で吹っ飛んだり、中部山岳地帯に築かれた「鉄塔王国」の大掛かりなセットと合成シーンなど、当時としては、それなりに見せ場を用意したスペクタクル巨編になっている。

もちろん、東映の昔の子供向け映画であるから、昨今のスペクタクルと比較するようなものではないが、当時の子供達にとっては、胸踊る内容であった事は想像できる。

怪人二十面相は、普段は白塗り風の若作り顔なので、一瞬、誰なのか見分けにくいが、変装した老人顔で登場すると、すぐに加藤嘉であると分かるのがおかしい。

本作では、特に珍妙な宇宙人のような格好をしている姿が珍しいというか、楽しい。
鉄塔王国内で、捕らえられて働かされていた少年探偵団員達が、お馴染みの「♪ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団…♪」と歌っているのも、随分のんきなシーンに見えるが、観ていた当時の子供達は喝采したシーンなのかも知れない。

明智役の岡田英次はなかなか凛々しく、全体的に、特に活躍している風にも見えないのだが、本作のクライマックスに当たる、鉄塔の頂上での決戦は、それなりにワクワクさせてくれる。

前後編とも、各々1時間程度の中編仕立てなので、結末が、今の感覚からすると、物凄くあっけなく見えるのだが、それも御愛嬌という所だろう。

今に繋がる「東映ヒーローもの」の原点とも言える作品である。