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少年探偵団 かぶと虫の妖奇

1957年、東映東京、江戸川乱歩原作、小川正脚本、関川秀雄監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

刑務所に半年間収容されていた301号こと、怪人二十面相(加藤嘉)は、折から、法務省の司法長官(杉狂児)が視察に訪れるチャンスを利用し、彼をおとりにすると、迎えに飛来したヘリでまんまと刑務所から脱出を計る。

やがて、原子炉の設計図を狙って、原子力委員長である相川博士(宇佐美淳)や、放射能から人体を守る新発明をした吉川博士(増田順二)らに怪人二十面相の魔の手が伸びる。

5万ボルトの高圧電流で完璧に防御されていたはずの、国立原子力研究所の機密書類が保管されていた大金庫が、ある日、何者かによって破られる。
それは、とても、人間の手によるものとは思えない程の破壊力であった。

鑑識の結果、原子力研究所に現れた怪物は、八本足のロボットのようなものではないかとまでは判明するのだが、その実体はかいもく見当も付かない。

金庫内の書類は、明智小五郎(岡田英次)の機転によって、偽物とすり替えてあったので無事だったのだが、怪人二十面相は、テレビの第8チャンネルを通じて、明智や少年探偵団に復讐を知らせて来る。

そして、少年探偵団員の一人植村君がさらわれてしまう。

さらに、ある日、相川博士邸に、四国大学の村瀬なる紳士が来訪する。
だが、その人物は、怪人二十面相の化けた姿であった。

一旦は、屋敷から立ち去った二十面相であったが、庭先に、突如、巨大なかぶと虫型のロボットが現れ、博士の息子で少年探偵団員でもある相川君をさらって行くのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

本作は、二部作になっている物語の前編に当たる。
後編は「少年探偵団 鉄塔の怪人」(1957)である。

半年間も刑務所暮らしをしている二十面相というのも、何だか間抜けな感じだが、本作では、ロボットなども登場し、空想科学要素が前面に出ている話となっている。

テレビの電波ジャックなどという発想自体も、この時代では、まだまだ空想科学的だったのだろう。

気になるのは「八本足の怪物」という所である。
かぶと虫は昆虫なのだから、足は六本なのでは?…と気になってしまう。
モンスターロボットという事で、意図的に八本足にしたのか、それとも、良く調べないまま作ってしまった結果か?(後編に登場するかぶと虫ロボットを見ると、確かに八本足のようだ)

この怪物の正体を、少年探偵団員達があれこれ推理している横で、明智の助手のマリ子姉さん(中村雅子)が、「まるで、小さなゴジラが出現したようなものですものね」などと発言しているのが興味深い。
いくら子供向け作品とはいえ、ゴジラはライバル会社のキャラクター名だろう。

当時、子供向け作品で急成長していた東映の自信の現れか?
それだけ、ゴジラという名称が、一般的に広まっていたという事かも知れない。

原子力発電…、この時代は、怪人二十面相さえも狙う、夢のエネルギー源だったという事が、改めて分かる内容になっている。