1986年、松竹、朝間義隆脚本、山田洋次原作+脚本+監督作品。
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山口から九州福岡の飯塚に足を伸ばした寅次郎、「嘉穂劇場」という地元の劇場を見つけ、かつて旅先で出会った旅芸人、中村菊之丞の事を思い出す。
劇場の人間に、その消息を知らないかと訪ねると、すでに他界したという。
故人の実家を探し歩き訪れた寅次郎は、バイクに乗った活発そうな娘に出会う。
彼女こそ、かつて少女歌手「大空さゆり」という芸名で出会った事のある美穂(志穂美悦子)であった。
実はこの話、1971年の「男はつらいよ・寅次郎恋歌」の冒頭の話と繋がっているのである。
中村菊之丞とは吉田義夫が演じた旅芸人で、雨の中、宿まで傘をさして寅次郎を送ってくれた娘こそ、大空すみれなのである。(この時のすみれ役は志穂美悦子ではない)
さゆりのお世辞に、すっかり気を良くした寅次郎が、1000円のお祝儀のつもりで1万円をうっかり彼女に渡してしまうエピソードも、この作品内で寅次郎が話している。
また、築豊地方の炭坑が全盛期だった昭和38年(1963)に、この地を訪れた事があるとも寅次郎は語っている。
物語はやがて、寅次郎を訪ねて上京してきた美穂が体調を崩し、偶然知り合った看板描きの青年、健吾(長渕剛)の部屋で一晩やっかいになった後、ようやく「とらや」で寅次郎と再会する展開になる。
仕事の当てもない彼女を、人手を欲しがっていた近所のラーメン店に紹介した寅次郎は、今度は婿探しだとばかり、一人張り切って相手を探し歩く。
一方、再会した美穂と健吾は、互いの気持ちを素直に伝え合う事ができず…。
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実生活でも、この作品の翌年、長渕剛と志保美悦子の二人は結婚している。
沢田研二と田中裕子が「男はつらいよ・花も嵐も寅次郎」(1982)で共演後、結婚した例に似ている。
ラスト近く、いつものように旅先で正月を迎えた寅次郎が相手をする客は、同年「キネマの天地」で、渥美清の娘役として幸運な主演デビューをはたしたばかりの有森也実である。
なお、志穂美悦子が働く事になるラーメン店「上海軒」にふらりやってきた青年3人の内、見なれぬ美穂の姿に驚き、ただちに噂を広めに外へ走りだす板前姿の男は、顔ははっきり出ないものの出川哲郎だと思われる。(特長のあるあの声が聞こえる)
作品の出来としては、やや低調といった所か。
