1972年、東京映画、笹沢左保原作、石松愛弘脚本、池広一夫監督作品。
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雨の中、足の生爪を剥がして足を引きずって歩き続けていた無宿人の丈吉(原田芳雄)は、宇都宮の一軒の飯屋の女お絹(北林早苗)から声をかけられる。
丈吉の傷の手当てをし終わったお絹の前に現れたのは、彼女を何とか物にしようとしつこく店に通っていた如来堂の九兵衛(南原宏治)と国定忠治(峰岸隆之介)と親交のある開運長五郎(内田良平)たち。
しかし、丈吉が彼女をかばい、彼らは一旦引き上げる。
その後、風邪をこじらせて倒れた丈吉を寝ずに看病したお絹は、自分の哀れな身の上を打ち明けるのだった。
やがて、三年の時が流れ、丈吉とお絹は遠隔地で夫婦となり、二人の間に生まれた小太郎という子供も三才に成長していた。
丈吉は細工職人として、堅気の仕事に打ち込んでいたが、ある日、得意先の高砂屋の主人から、宇都宮の加賀屋仙左衛門(十朱久雄)が、丈吉の仕事振りを見たがっているので会いに行ってみないかと話を持ちかけられる。
決して、喧嘩はしないでくれと心配するお絹を後に、丈吉は宇都宮へ旅立つが、途中、九兵衛の手下たちに捕まってしまい、丈吉は、左指を二本切断されるという拷問を受ける。
加賀屋に会った帰り道でも、今度は長五郎の手下達に絡まれ、泥まみれの状態で帰宅した丈吉を待ち受けていたのは、惨殺されたお絹と小太郎の変わり果てた姿だった。
二人を埋葬後、再び、無宿人の姿に戻った丈吉は、近くで様子をうかがっていた九兵衛の手下、勘助(伊達三郎)を捕まえ、女房子供を陵辱殺害した下手人は、九兵衛、長五郎、そして、国定忠治の差し金であった事を知る。
丈吉は、お絹の赤いしごきを帯に巻き、復讐の旅に出かけるのだった…。
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「木枯し紋次郎」の大ヒットで、空前の股旅ブームを巻き起こした笹沢左保原作の、70年代らしい復讐物で、3本作られたシリーズの最初の作品である。
ミステリー作家でもある笹沢左保らしく、後半も、単純な展開になっていない所が見所。
若々しい主役を演ずる原田芳雄も魅力だが、 松尾嘉代や、黒い眼帯に紫色のマフラー姿と粋な渡世人に、木枯し紋次郎役でお馴染みの中村敦夫も登場して花を添える。
まだ、若々しい二枚目、峰岸徹(隆之介)演ずる国定忠治も、従来のイメージを払拭した独特のキャラクターとなっており、悪役としても異色で、なかなか魅力的に造型されている。
出番は少ないながら、印象的な役柄を演ずる阿藤海にも注目したい。
