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怪談

1965年、文芸プロダクション+にんじんくらぶ、小泉八雲「怪談」原作、水木洋子脚本、小林正樹監督作品。
カンヌ映画祭審査員特別賞受賞作。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

「黒髪」「雪女」「耳なし芳一」「茶碗の中」の4編からなる。

「黒髪」
京の都に貧しい青年(三國連太郎)があった。
美しく、気立ての良い女房(新珠三千代)がいたにも関わらず、貧しさに耐えかね、家柄の娘(渡辺美佐子)に入り婿として入り、遠い任地に勤める事になるが、新しい女房はわがままなだけ。
いつも、思い出されるのは、別れた前の女房の事ばかりであった。
時が過ぎ、京へ帰ってきた青年は、勇んで前の女房の待つ家に帰るのだが…。

「雪女」
武蔵の国、老いた木こりの茂作(浜村純)と一緒に山に入った年期奉公の若者、巳之吉(仲代達矢)は、猛烈な吹雪に襲われる。
ようやくたどり着いた船着き小屋で一夜を明かそうとした彼らの前に、妖し気な女が出現する。
彼女は、弱り切っていた茂作に白い息を吹き掛け凍死させると、おびえる巳之吉に近づき、お前は美少年なので殺さないでおくが、今夜の出来事を誰にも話してはいけないと告げ、小屋から立ち去る。
1年が過ぎ、身体も癒えて山仕事に復帰した巳之吉は、一人で江戸へ向うお雪(岸恵子)という美しい娘と出会う…。

「耳なし芳一の話」
平家物語を語らせたら右に出るものがいないという、盲目の若き琵琶法師の芳一(中村賀津雄)は、ある日、寺の住職(志村喬)から留守番を言い付かる。
その夜、一人で寺を守っていた芳一の前に、甲冑姿の男(丹波哲郎)があらわれる。
さる高貴なお方が芳一の琵琶を聞きたいとおっしゃるので、迎えに来たという。
唐突な話に面喰らいながらも、芳一は男に手を引かれるまま、大きな屋敷へと連れて行かれる。
その日から、夜な夜な外出しては面やつれしていく芳一の行動を怪んだ住職は、嵐の夜、寺男の矢作(田中邦衛)と松造(花沢徳衛)に、彼の後をつけさせるのだったが…。

「茶碗の中」
侍の関内(中村翫右衛門)は、お供の途中で、水を飲もうと、茶碗に水を汲み、顔を近付けるが、茶碗の水に見知らぬ男の顔が映っているのに気付く。
薄気味悪く思い、何度も水を捨てたり茶碗を変えてもその怪異は続いたので、ままよと、関内はその水を飲み干してしまう。
後日、屋敷を警護中の関内は、水に映った男と同じ人物が急に部屋に現れたのに驚き、刀で斬り付ける。
件の男は、そのまま壁の中に消えてしまい、その後、仲間を呼び集め、屋敷中をくまなく探しても、誰一人、その男の姿を発見する事はできなかった。
釈然としないまま屋敷に戻った関内に、三人の客人が訪れて来る。
彼らがいうには、先程傷つけられた自分達の主人は、今養生のため旅に出ているが、戻ってきたら必ずお礼にうかがうという。
その言葉を聞き逆上した関内は、三人の客に、突如、槍で襲いかかる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

馴染みの話が多く、今の感覚でいう「ホラー映画」というよりも、どちらかというと「世にも奇妙な〜」風のテイストに近い。

基本的に文芸作品であるため、娯楽映画の感覚で観ると、そのテンポが緩やかさに退屈するかも知れない。

冒頭の墨流しから、勅使河原蒼風の題字など、粟津潔の手になる洒落たタイトルデザインがまず目を引く。
本編に入っても、巨大なセットを使った独特の美的空間で魅せる重厚な「美術映画」になっている。

舞台美術のように、ホリゾントに描かれた幻想的な絵画風の空が素晴らしい。

派手な特撮シーンなどはないのだが、部分部分で丁寧な合成技術が効果を上げている。

特に、「耳なし芳一」のエピソードは圧巻で、冒頭の壇の浦の海戦のシーンなどは見ごたえ十分。
後半の、平家一族の亡霊達が集う屋敷のシーンも幻想的かつ豪華で圧倒させられる。

若き新珠三千代や仲代達矢の美貌振り、三國連太郎や丹波哲郎も凛々しさなども見所である。


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