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エノケンのざんぎり金太

1940年、東宝、山本嘉次郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

明治時代の見せ物興行風にエノケンが歌いながら登場人物を紹介するオープニング。

築地ホテルを描いた錦絵にキャメラが接近すると、書き割り風になった絵のホテルの窓に火が点り、舞踏会の場面に切り替わるという洒落た演出が新鮮。

踊っていた若い洋装の女性が悲鳴をあげる。
河童にネックレスを盗まれたという。

早速駆け付けた元八丁堀、今は私立探偵の徳田倉吉(中村是好)、カーテンの陰にひそんでいた河童を発見。

案の定、河童の正体は、スリのちゃっきり金太(榎本健一)の変装と判明、そのままおっかっけこが始まる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

どうもこの作品、同じく山本嘉次郎監督作品で有名な「ちゃっきり金太」(1937)の続編らしい。

金太は、ライバルの倉吉(ルパン3世と銭形のとっつぁんの関係に似ている)が側にいると、くしゃみをしてしまうという癖があるようだ。

この作品ではさらに、「♪じいさん、酒飲んで、酔っぱらって、死んじゃった♪」というメロディを聞くと、金太は、本当に亡くなった自分のじいさんを思い出して泣いてしまうという妙な癖が加わっており、これが劇中でのギャグやサスペンスのきっかけとして利用されている。

物語は、金太に盗まれたネックレスには、政治家を目指す男爵、有島権之進(高堂国典)の娘の出生の秘密が隠されており、その秘密が政敵の芝浦荘造(進藤英太郎)に知れてしまうと選挙の不利になると、早速、倉吉に捜査を依頼するが、書生として有島が面倒を見ていた本郷という男が実はその芝浦の手先で、これまた、そのネックレスを奪おうと金太に取り入ろうとする話がメインとなる。

前半では、久々の悪行を、昔のスリの親分、今は俥屋の主人になっている幸兵衛とその娘おゆきちゃんにとがめられた金太が、それではと、その盗んできたネックレスを捨てようとするが、その度に失敗して、元に戻ってしまうというギャグが繰り返される。

ネックレスはひょんな事から、一旦はまた元の娘の元へ戻ってくるが、ドタバタの末、川に落ちて紛失、その後、旅芝居の一座の女優の手に渡る事になる。

これまた偶然に、その一座に身を寄せていた金太は、そのネックレスとの再会に驚くと共に、何とかそれを取り戻そうとするのだったが…。

後半は、ライバル関係の金太と倉吉が手を合わせて、ネックレスを本郷一味から奪い返そうとする所が見せ場となる。

文明開化の時代が舞台となっているだけに、大掛かりな屋外セットが登場するが、今の東宝砧スタジオであろうか?そのセットには正直驚かされる。