1961年、宝塚映画、芝野文雄脚本、佐伯幸三監督作品。
東宝の「暗黒街」シリーズを意識して作られた「断崖」シリーズの最終作。
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深夜、酔っぱらって帰宅する途中の男が、近づいてきた車に跳ねられ崖から墜落死する。
車から降りて、その屍骸を確認していた二人の男は、事件を目撃したと思われる若い女性（水野久美）に気付き、彼女を追い掛けるが、彼女は若い別の男二人連れに出会い、急場を救われるのだった。
死亡した男は立花組の組長で、若い女性を救った二人組の男は、偶然にも、その息子のトムこと、勉（夏木陽介）と子分のサブ（加藤春哉）であった。
父親の葬儀を済ませたトムは、あの夜の事情を詳しく聞こうと、女性が別れ際に落として行ったハンカチに付けられた「リエ」という名前と、これから神戸へ帰るという言葉を手がかりに、助けた女性を訪ねて神戸へ向う。
しかし、その行動に不審を抱いた代貸の浅倉（中丸忠雄）は、神戸の大滝建設の社長（平田昭彦）に電話を入れ報告するのだった。
大滝は、早速、トムと面識がある部下の手塚（遠藤辰雄）に命じ、神戸に到着したトムに接近させ、秘かに彼を抹殺しようと謀るが、そのピンチの場で、トムが出会ったのが、旧知の仲の元ヤクザで今は堅気の運送業を営んでいる鳴海（丹波哲郎）であった。
その頃、大滝は、射撃の腕が立つ藤村（三橋達也）という男を会社に雇い入れ、彼にトム抹殺の仕事を任せようと目論んでいた。
トムから、リエという名前の女性を探していると聞かされた鳴海は、大滝の女と承知で付き合っているキャバレーの経営者、登志子（淡路恵子）にも手伝わせる。
やがて、リエは見つかるのだが、彼女は、事件関係者と意外な接点を持つ女性だった…。
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基本的に、三橋達也の設定など「暗黒街」シリーズそのままといって良い。
通俗サスペンスそのものの展開なのだが、クライマックスのアクションなどは、後年のテレビ「西部警察」を思わせるような派手な爆破シーンなども用意されており、なかなか迫力があって楽しめる。
主演の夏木陽介が全くヤクザには見えないなど、御愛嬌ともいうべき部分もあるが、お馴染みの俳優陣が脇を固めているので、まずは安心して観ていられる。
この手の作品としては、まずまずと行った所か。
トムとキャバレーで知り合い、その後も何かと彼に付きまとうホステス早苗（環三千世）や、結構、印象に残る見せ場が用意されているサブ役の加藤春哉などの、ちょっと憎めない童顔キャラの使い方も東宝らしい。
