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大事件だよ全員集合!!

1973年、松竹大船、渡辺祐介原作、渡辺祐介+田坂啓+森崎東脚本、渡辺祐介監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

松竹の「全員集合」シリーズの12作目で、荒井注、最後の参加作品となる。

客が来なくて、満足に事務所の家賃も払えない貧乏な「いかりや探偵社」の所長、伊刈長吉(いかりや長介)は、近所のラーメン屋万来軒の主人忠次(荒井注)から、たまったツケを払えと矢の催促をされ、とうとう逆ギレしてしまう。

自衛隊の訓練に耐え切れず脱走した後、たまたま万来軒に忍び込み、盗み食いしていた加藤ヒデオ(加藤茶)を加え、探偵社助手の仲本(仲本工事)、万来軒の出前持ち風太(高木ブー)らに、自分はCIAの一員だと告白する長吉。

世界中の暗殺事件は、全てCIAの差し金であり、自分に逆らう奴には、すぐに本部から暗殺指令が来るという。
その合図は、近所をうろつくちり紙交換車が発する「いらなくなったボロ切れ…」という言葉だと説明されていた4人は、ちょうど近くを通りかかったちり紙交換車(運転手は志村健)が、まさしくそういう呼び掛けをしていたので怖じ気付き、そのまま、長助の手下として言いなりになる事に…。

万来軒を新しい事務所兼用にし、怪し気な訓練の後、めでたく探偵助手になった4人に仕事探しをさせていた長吉だったが、たまたま店に来た芸者の桃太郎(中尾ミエ)から、5年間も貢いで裏切られた男の素行調査をする仕事をムリヤリ獲得する。

男の名は黒木新八郎(藤村有弘)という城北大の地質学科の助教授で、彼の調査のため学校に乗り込んだ5人は、そこで坂本ミサオ(松坂慶子)という美しい女学生と知り合う。

彼女を、黒木の恋人と睨んだ5人だったが…。

ミサオと同じアパートに住み、元潜水夫で今は魚河岸で働いている矢代五郎(長谷川明男)や、土佐で漁師仲間の組合長をしているミサオの父親、坂本久馬(伴淳三郎)が登場し、やがて、5人は、政治家ややくざを巻き込んだ、海底油田目当ての足摺岬沖爆破計画へと巻き込まれて行く。

後半、カトちゃんを本物のCIAと思い込んだメンバー達の誤解から、彼が新しいリーダーになる。

長吉を嫌っている他のメンバー達が、彼をだまして桃太郎と心中させ、死んでいない長吉の身体をいきなり焼き場で焼こうとする辺りの悪ノリ振りは愉快。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

若いドリフの面々が元気一杯に活躍している作品だが、全体としては平均的な出来といった所だろう。
土佐のホテルなどとタイアップして現地ロケしている辺りが、併映だった「男はつらいよ」シリーズ同様、御当地映画として、当時の松竹が地方営業に熱心だった事情をうかがわせる。

ナベプロとの提携作品なので、まん丸顔時代のアグネス・チャンが「小さな恋の物語」を披露するシーンなども用意されている。
松坂慶子のコメディ出演というのも珍しいのではないだろうか?

黒木助教授の助手として天地総子、カトちゃんの自衛隊の上司に玉川良一、やくざの親分に山本麟一、他にロンゲスタイルの芦屋小雁、どこかしら野沢直子に似ている十勝花子、由利徹なども登場。

冒頭の自衛隊シーンでは、おそらく「宇宙大怪獣ギララ」(1967)で使われたと思しきジェット機のミニチュアカット、クライマックスでもミニチュア特撮シーンがあるのも御愛嬌。

長吉が、自分はフランスのド・ゴール大統領を暗殺し損なった別名「ジャッカリヤ長介」だ、などと嘯いたり、4人が長吉に拉致された際、ブーがつぶやく「第二の金大中事件か」、五郎のセリフ「PCBが入っていない魚」、カトちゃんのセリフ「今、何時ですか?ラ〜メン時よ」などといった当時の社会ネタ、流行語なども懐かしい。

足摺岬沖爆破で、土佐が海底に沈没してしまうかも…という辺りのアイデアは、おそらく同年の東宝のメガヒット作「日本沈没」からいただいたものと思われる。