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愛妻記

1959年、東京映画、尾崎一雄「芳兵衛」原作、長瀬喜伴脚本、久松静児監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

昭和7年、早稲田界隈でのお話。

下宿屋「相模館」に住む小説家の卵、多木太一(フランキー堺)は、下宿代の滞納が原因で、食事も出してもらえなくなり、いつものごとく、懇意の大観堂書店の主人に金を無心に行った帰り、下級生の石井伍助(藤木悠)と出会う。

何でも、国から嫁をもらって帰ってきたので、家族総出で麻雀屋「純風荘」を始めるつもりだという。
しかし、自分達は、肝心の麻雀そのものを良く知らないので、指南係として手伝いに来てくれないかと誘われた多木は、お安い御用と出かけるが、そこで可愛い娘、芳枝(司葉子)と出会う。

最初は、彼女を石井の新妻と勘違いした多木であったが、実は彼女は、本当の妻の純子(白川由美)の親友で、手伝いのため、郷里の金沢からやってきていたのであった。

後日、姑と折り合いが悪いから別居したいと相談された多木は、石井夫婦を相模館の空き部屋に紹介してやるのだが、芳枝もちゃっかり二人に付いてきて、一部屋借りる事になる。

物おじしない芳枝の姿をかねがね気にしていた多木は、彼女に郷里に帰った方が良いと忠告するのだったが、彼女に泣かれ、そのまま夜を明かした二人は結婚を決意する。

新しく移り住んだ「春光館」という下宿屋で、プロレタリア文学の流行に押されるまま、小説を書かなくなっていた34才の多木と、20才で元気と好奇心だけは旺盛な芳枝の奇妙な新婚生活が始まる。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

他愛のない小説家の随筆というか、私小説のような内容なのだが、とにかく、お茶目で愛らしい芳兵衛こと芳枝を演ずる司葉子と、もっさりして、いかにも生活力のないダメ男を演ずるフランキーの取り合わせが楽しい作品になっている。

石井の父親役で藤原鎌足、多木の前妻役で乙羽信子、その乙羽の新しい夫役で滝田祐介、多木の親友役で平田昭彦、「春光館」のお手伝い、お君役で横山道代、ちんどん屋役で沢村いき雄、刑事役でブーチャンこと市村俊幸などが登場する。

取り立てて、何か大きな事件がある訳ではないが、凡々たる生活を通して、いかにも若い妻との生活に満足している男のほのかな幸せ感が観ている側にも伝わって来るような、気持ちの良い作品に仕上がっている。