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馬鹿と鋏

1965年、東宝、田波靖男脚本、谷口千吉監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

詐欺罪で三年間服役していた大森小平(伴淳三郎)とヤクザ野崎組の親分、野崎(田崎潤)が、宮様の御成婚に伴う恩赦を受け、同じ刑務所を出所する。

小平は、まず、久しぶりにトルコ風呂(ソープランド)へ出かけ、トルコ嬢松山幸枝(北あけみ)と昵懇の仲になる。

さらに、昔馴染みのバー「ボンド」へ出かけた小平は、入所前にそこのママ、英子(池内淳子)に預けておいた500万円を返してくれと持ち出すが、すでに使ってしまって、今はないと言い返される。

その後、小平は、長い間会ったことのない娘の様子が気になり、彼女の勤める共立銀行へ出かけて、秘かに受け付けで働いている娘の元気な姿を見て帰るが、その直後、その咲子(田村奈巳)は、三郎(高島忠夫)という見知らぬ男のトリックに引っ掛かり、客(児玉清)に渡すべき300万入りの鞄をだまし取られてしまう。

そんな事とは知らない小平は、今は、小学校の給食係をしている妻に会いに行き、銀行を首になった娘が2日前から帰って来ない事を聞かされるのだった。

小平は、詐欺仲間の喜介(小沢昭一)と再会し、早速、新しい仕事の打ち合わせを始める。

騙す相手は、言い様にあしらわれたバーのママ英子。

喜介が連れてきた新しい仲間、三郎と共に、三人は言葉巧みに英子から300万を騙し取る事に成功、さらにその金を元手にして、今度は幸枝の貯金していた580万までそっくり奪い取ってしまう。

他の二人と共にキャバレーで仕事の成功を祝っていた小平は、自分の隣に座ってきたホステスが娘の咲子である事に気付き愕然とする。もちろん、自分の父親はすでに亡くなっていると母親から聞かされてきた咲子の方は、小平の顔を知らないのだ。

咲子の事を、自分が以前騙した銀行員だと気付かない女好きの三郎は、彼女を自分のマンションへと連れて帰るのだが、咲子の方はしっかり三郎の顔を覚えており、盗んだ300万を返せと迫る。

彼女の口から、新空港予定地を前もって買う話を聞かされた三郎は、それを小平に伝えるが、その小平から彼女が自分の実の娘だと告白されて、彼女に詐欺の才能が受け継がれている事を悟る三郎であった。

こうして、咲子を加えた4人組は、大物政治家、大松原剛平(進藤英太郎)を巻き込む、大掛かりな詐欺の計画を実行する事になる。

しかし、大松原の息のかかった野崎は、ムショ仲間の小平の顔を覚えていたのであった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

とにかく、詐欺のトリックが巧みに考え抜かれており、その手際の良さが痛快である。

芸達者な伴淳と小沢昭一、さらに若き高島忠夫、各人の頭の回転の早さ、口の巧さが見所となっている。

東宝お馴染みの俳優たちが適材適所に配されており、とにかく安心して観ていられる娯楽作品になっている。

特に、新空港予定地の土地買収に絡む後半の大掛かりなトリックは見ごたえがある。

騙される気の良い地主を演ずる小杉義男のキャラクターが面白い。

決して派手な映画ではないが、じっくり引き込まれるような魅力を持っている。

定年真際の刑務所長に有島一郎、大松原の顧問弁護士に十朱久雄、他に平田昭彦らも登場して、各々存在感を見せてくれる。