TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

続丹下左膳

1953年、大映京都、林不忘原作、伊藤大輔+柳川真一脚本、マキノ雅弘監督作品。

「丹下左膳」の後編に当たる。

江戸に呼出され、大岡越前守(大河内伝次郎)から、丹下左膳の事を尋ねられた饗庭主水正だが、そんな人間に心覚えはないと答える。

しかも、大岡邸より帰宅途中、当の左膳(大河内伝次郎-二役)が篭に近づき、久々の城主との再会に喜び、挨拶をしようとしたのに対しても、全く知らぬぞんぜぬを繰り返す主水正。

愕然とする左膳。

主水正の江戸屋敷にまで押し掛けた左膳であったが、狂人扱いされたあげく、一歩たりとも中に入れてもらえる事さえかなわなかった。

完全に主君に裏切られた事に気付いた左膳は、お藤の短筒の加勢もあり、追っ手たちを蹴散らしながら、姿をくらませてしまう。

一方、傷が癒えてきた諏訪栄三郎は、泰軒と共に、水上生活者の暮す船の中にいたのだったが、こちらも、刀の妖力に取り付かれ、夜な夜な辻切りに出かけるようになってしまう。

その頃、左膳はお藤と共に、とある宗教の修行場近くにある小屋に身を隠していた。

左膳も又、刀の魔力に取り付かれており、体内より沸き起こってくる人斬りの誘惑と戦っていた。
そんな左膳の姿を見兼ねたお藤は、そんなに人が斬りたいのだったら、自分を斬ってくれといいだすのだった。

饗庭藩より、応援に呼び寄せられた月輪剣士の一団は、鼓の与吉(田中春夫)の密告により、坤竜の剣を持つ栄三郎を襲おうと船に近づく。
しかし、そこには、短筒を持ったお藤が先回りして待ち伏せていたのであった。
かつては、姉御とその子分の関係であったお藤と与吉までもが、運命のいたずらから敵味方の関係になってしまったのである。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

魔力を持った妖刀を手にしたばかりに、人間性を失いモンスターとなって行く二人、さらに彼ら二人に関わる人たちまでもが不幸に巻き込まれて行く様が哀しく描かれて行く。

全体的に暗いトーンで、主役左膳を演ずる大河内伝次郎も、中年太りの体型もあってか鈍重な感じで、今一つ魅力に乏しく、怪奇ファンタジーとしても、チャンバラ活劇としても、中途半端な出来という印象がある。

伝奇時代劇として見ても、江戸市中だけに舞台が限定されており、意外とちまちまとまとまってしまっており、全体的に、あまりスケール感を感じないのも気になる。

丹下左膳の物語の大枠をつかむのには、ちょうど良い作品かも知れない。