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1988年、シネ・ロッポニカ、佐藤正午原作、荒井晴彦脚本、藤田敏八監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

別府の競輪場で出会った二人の遊び人、一人は中年の蜂矢(柄本明)、もう一人は青年の永井(尾美としのり)。
出会った事で運が付き始めたと感じた二人はすっかり意気投合し、それから一緒に競輪廻りをしながら気ままに遊んで旅をする事になる。

彼らが最初に到着したのは、西鹿児島。

その頃、当地では、一人の警察官が上司の紹介でお見合いを行っていた。
本部長賞をもらった事がある清水信彦(沢田研二)は、今一つ、見合いに消極的なのだったが、お相手の山川亜代(南條玲子)は一目で彼に惚れ込んでいた。

海水浴場に亜代と遊びに来ていた清水は、人違いして日焼け止めオイルを彼の背中に塗ってきたホステスの尾崎節子(手塚理美)と出会う。

同じ海水浴場には、蜂矢、永井コンビ、部下の女性と不倫旅行に来ていた阿久根次長(小林克也)、さらに、受験一筋の高校生、出水(村上雅俊)と彼に気のある佐伯直子(佐倉しおり)コンビなども遊びに来ていた。

出水は、夜、帰宅途中、ホステスを乱暴しているヤクザ風の男を発見、その光景から目が離せなくなる。
現場を見られた事に気付いた男は、出水に近づくと、ボコボコにのしてしまう。

その頃、不倫を清算し、他の男と結婚する事にしたと女から打ち明けられた阿久根は、我を失い、彼女に復讐をする為、警邏中、ぼんやり、ブランコに乗っていた清水を背後から殴り倒し、拳銃を奪ってしまう。

その拳銃持参で女の結婚式に上司として出席した阿久根は、ホテルでの襲撃に失敗。
新婚旅行に出かけた彼女達の新婚家庭に忍び込むが目的を見失ってしまう。

仕方なく外へ出た彼は、ピザを配達途中のスクーターを止め、拳銃で脅かすと、そのスクーターに乗って、動物園に乗り込み、そこで盗んだピザをむさぼり食うと、拳銃はゴミ箱に捨ててしまう。

その様子を盗み見、銃を拾ったのが、出水であった。
彼は、あの夜の屈辱が忘れられず、ヤクザ風の男に復讐するため、男が住むという北海道へ向う。

同じく北海道へは、例の蜂矢、永井コンビ、さらに拳銃の行方を知って追う事になる清水と佐伯直子の二人組も向っていた。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

何組かの人間達が、偶然にも、たびたび同じような場所に居合わせ、同じような事件に遭遇していく様を、淡々としたタッチで描いている。

主役は一見ジュリーのように思えるが、彼は一種の狂言回し的存在ではないだろうか。

阿久根や出水、はたまた、最後には、意外な人物までもが狂気にかられていく。
日常には、どこにでもそうした狂気の芽が芽生える可能性があるという事なのだろうか。

狂気とはいえないまでも、たえず生気に乏しい清水の存在や、蜂矢、永井の遊び人コンビの怠惰な生活振りも、現代を象徴しているようで興味深い。

これら、どこかひ弱さを抱え込んでいる男性陣に対し、登場してくる女性達の、何とたくましく現実的な事か。

いささか長めの作品で、地味といえば地味な展開なのだが、意外と退屈する事はなく、クライマックスまで見入ってしまうような作品である。