1960年、東映東京、比佐芳武原作、脚色、小沢茂弘監督作品。
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夜の路上で、福徳商事の社長令嬢、馬場きみ子(中原ひとみ)と、専務、清島了介(中山昭二)が同乗した乗用車が、覆面姿の男達に襲われ、きみ子と車が奪われる。
さらに別の事件で張り込んでおり、その車を制止しようとした松川刑事と警官が射殺されるという事件に発展する。
事件を担当する蒲田警察署の大沢警部(山形勲)の所へ、馴染みの老弁護士、多羅尾伴内(片岡千恵蔵)が訪れ、事件の概要の説明を受けている所へ、殉職した松川刑事の娘、その子(佐久間良子)がやってくる。
その後、横浜にあるドライブクラブ宮下商会に、一人のアイパッチ姿の男が訪れ、経営者で元外車窃盗の前科がある宮下源吉(東野英治郎)に、鎌倉で発見された盗難車に付けられていた偽ナンバープレートの作り手を教えろと詰め寄る。
源吉の口から知らされた田島という職人を訪ねたアイパッチの男は、殺害された直後の田島を発見するのだった。
行方をくらませた宮下の事務所から謎の暗号が書かれたメモが発見される。
やがて、夜の横浜港に香港丸の船員を名乗る男の姿があった。
近づいてきた夜の女(星美智子)に、拳銃を売り捌くルートを知らないかと訪ねる男。
それなら、「ニューモナコ」というキャバレーにいる自分の弟、桜井新吉(江原真二郎)に会いに行けと聞かされた件の船員、さっそく、「ニューモナコ」に乗り込んで行く。
そのキャバレーには、例の宮下商会にもいた新吉とその愛人、川北とめ子(久保菜穂子)、さらに、その店ではマリと名乗り、ホステスとして働き始めた松川その子、さらに、誘拐された馬場きみ子の義母、不二子(喜多川千鶴)の姿などがあった。
さらに、店の奥の秘密のギャンブル場には、ボスの星村周平(進藤英太郎)が居座っていたのである…。
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戦後、しばらく刀を使う時代劇が作れなかった事情もあり、その代用として考案された現代活劇。
変装の名人で、「七つの顔を持つ男」の異名を持つ、正義の人、藤村大造(片岡千恵蔵)を主人公にした人気通俗ミステリーシリーズの11作目に当たる。
御都合主義そのものといったような展開だが、観客には丸分かりの変装や、銃撃戦になっても、一発たりとも敵の弾が当たらない藤村大造の活躍が、今観ると逆に新鮮で楽しい。
今では、表現が許されないような変装キャラクターもあるが、香港帰りで、手品好きのきざな紳士…というキャラクターが、特におかしい。
大沢警部の部下として、掘雄二や加藤嘉などの顔も登場する。
佐久間良子がキャバレーのステージで、「よさこい節」のアレンジ曲のようなものを歌うシーンもあり、興味深い。
黒いソフト帽にきりっとした背広姿の御大、片岡千恵蔵の姿は、かっこいいのか悪いのか、今の感覚では微妙としかいいようがないのだが、娯楽映画としては、それなりにきちんと作られており、今でも十分楽しむ事ができる。