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沓掛時次郎 遊侠一匹

1966年、東映京都、長谷川伸原作、掛札昌裕+鈴木尚也脚本、加藤泰監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

橋を渡りながら、身延の朝吉(渥美清)が朗々と仁義をきっている。

だが、それは自分の仁義ではなく、同行している沓掛時次郎(中村錦之助)の仁義を暗唱していたのだ。

田舎臭く冴えない自分の仁義と違い、つくづく兄貴の仁義はすばらしいとうらやましがっていたのだった。

そんな独り言をしゃべっていた朝吉が気がつくと、先を歩いていた時次郎が、河原で見知らぬ男二人に囲まれているではないか。

以前斬られたやくざの仕返しらしい。

朝吉は、兄貴を助太刀しようと刀を抜いて駆けつけるが、あっという間に、時次郎は二人の相手を叩き斬ってしまう。

その日泊まった宿で、静かに横になっている時次郎に、朝吉が声をかけてくる。

まだ宵の口だし、この近くに「野澤屋」と言うあいまいやがあるらしいので、そこに繰り出そうと言うのだった。

しかし、時次郎が全く興味を示さないのを見ると、つまらなそうに一人で出かける。

時次郎の脳裏には、先ほど斬ってしまった二人の最後の様子が頭にこびりついていたのだった。

色町に出向いた朝吉、一件の女郎屋の女に声をかけられるが、趣味じゃなかったので、これから自分は、もっと上玉ぞろいの「野澤屋」に行くのだと振り切ろうとすると、その女は、ここがその「野澤屋」だと言うではないか。

仕方なく、その宿に上がる事になった朝吉だったが、呼び込んだ当の女、お松(三原葉子)は、朝吉を部屋に待たせたまま、一人平然と飯をかき込んでいた。

あんまり待たされるので、隣の部屋の様子など盗み聞きしながらいら立っていた朝吉は、ようやくお松がやってきて、横柄な態度で口をきいて来るので、さすがに切れ、バカにするなと自分の入れ墨をちらつかせる。

しかし、朝吉の途中で止めたような根性なしな入れ墨を見たお松は、自分のも見せてやるともろ肌脱ぎになる。

すると、その背中には見事な大蛇の、さらに太ももの内側には蟹の彫り物。

すっかり恐れ入った朝吉は、もはややる気をなくしてしまう。

そんな朝吉にお松は、ここの店の女将さんは佐原の勘蔵(高松錦之助)親分の娘で処女だが、もっとすごい彫り物をしているのだと教える。

その女将こと、お葉(弓恵子)は、賭場で一人勝ちしていた時次郎の様子を忌々しく見ていた。

大きな額ばかり賭ける時次郎に、もう少し、額を分けてくれと頼む子分の言葉に、自分は大きな勝負しか興味がないのでと帰りかけた時次郎に、お葉が、自分の身体を賭けて勝負をしてみないかと、背中の観音像の入れ墨を見せる。

しかし、時次郎は、自分は賭け事は好きだが、賭けをする女は大嫌いだと言い残し、さっさと賭場を後にする。

子分たちはいきり立つが、今帰った男は、銚子で飯岡組を打ち負かしたと噂を聞く沓掛の時次郎に違いないとにらんだお葉は、すぐに宿を突き止めて連れてこいと子分たちに命ずる。

やがて、時次郎のみならず、連れの朝吉も一緒に駕篭に乗せられ佐倉一家に招かれると、思わぬ歓待を受ける事になる。

今までそんな厚遇の経験がない朝吉はすっかり喜んで舞い上がるが、時次郎は、やくざの親分にとって自分たち旅の衆など虫けらにしか考えていないんだと、こうした歓待には裏がある事をほのめかす。

そんな最中、突如「野澤屋」に乗り込んできた牛堀の権六(中村時之介)が、この店は元々自分たちのものだから預かると因縁を付けていた。

お葉は、この店は、前の持ち主のお力から、きちんと百両で譲り受けたものだとはねつけるが、権六はお葉をなめているのか、聞く耳を持たない。

事情を知った佐倉一家の子分たちは、親分の勘蔵が身体を壊して寝込んでいる今、下手に牛堀一家と喧嘩をするよりは、あの店を渡してしまった方が良いのではと進言するが、気の強いお葉は激怒する。

そして、今、時次郎たちにわらじ銭を渡そうと思うと言いだす。

客人にこちらからわざわざ旅費を出してやると言うのはどういう事だと、娘の言葉を聞いた勘蔵はいぶかしがるが、お葉は、相手は名のあるやくざ、義理を感じて、わらじ銭を受け取るはずがなく、向こうからこちらに加勢しようと言い出すはずと手の内を明かすのだった。

やがて、勘蔵の部屋に呼ばれた時次郎と朝吉に、お葉はわらじ銭を渡し、もめ事が起きたのでお二人に面倒をかける事になるかもしれない。これですぐに旅立ってくれと説明する。

朝吉はすぐに事情を察し、時次郎が加勢すると言いだすと思い込んでいたが、その時次郎、ではさっそくわらじを履かせていただきますと言い残すと、金を受け取りさっさと佐倉一家の家を旅立ってしまう。

後を追ってきた朝吉は起こっていた。

兄貴がそんな義理を知らない男だとは思わなかったと言うのだ。

しかし、その言葉も聞こえぬかのように足を速める時次郎は、お前は身延に帰って百姓に戻れと諭す。

すると朝吉は、自分だけ国に返して、一人で名を挙げる魂胆なんだなと邪推する始末。

そして、自分一人でも義理を通してみせると言い残し、佐倉一家に戻るのだった。

戻ってきたのが、頼れそうにもない朝吉だけだったので、落胆したお葉だったが、朝吉は、自分は腕はないができるだけの加勢をするから、旅立った沓掛の事は勘弁してくれと頭を下げる。

やがて、大勢の牛堀一家が待つ野澤屋に一人乗り込む朝吉。

その直後、佐倉一家に戻ってきた時次郎は、佐倉一家が、朝吉一人だけで野澤屋に向かわせた事を知り、その非常さに義憤を感じながらも、慌てて野澤屋へ走る。

しかし、野澤屋の座敷の中で、朝吉は簀巻きに巻かれて惨殺されていた。

よってたかってなぶり殺しにされた事を知った時次郎は、怒りにまかせ、待ち構えていた牛堀一家を全員斬り殺して行く。

最後の権六は、時次郎から刀で突かれ井戸に落ちてしまう。

その直後、子分を連れて駆けつけてきたお葉が、朝吉の遺体を葬ろうと近づくと、それを制止した時次郎は、この朝吉はお前たたちのような計算ができない男だった。朝吉はお前たちが殺したんだ。その始末はあっし一人でやらせてもらうと言い切って、佐倉一家を近づけさせなかった。

翌日、朝吉の位牌を自分の三度笠に乗せ、ここをずっと下ると富士が見えると言う。お前のふるさとの近くだと言いながら川に流してやる時次郎だった。

その時次郎が渡り舟に乗り込もうとしたとき、一人の母と男の子が後から乗ってくる。

みんなから、三蔵の女房おきぬさんと呼ばれていたその母親(池内淳子)は、出向いていた足立村からもらってきたものだと、熟した柿を船客たちみんなに分け始め、後ろを向いていた時次郎にも一つ渡す。

それが縁になり、船を降りた後も時次郎は子供の太郎吉(中村信二郎)を肩車に乗せてやって、峠の分かれ道までおきぬと仲睦まじく同行する事になる。

その後、時次郎は、鴻巣金兵衛(堀正夫)の家にわらじを脱ぐ事にする。

ところが、家に落ち着いたものの、子分衆たちはいやに慌ただしい様子。

これは騒ぎが近いと読んだ時次郎は、面倒に巻き込まれないうちにそそくさとわらじを履こうと決心し、金兵衛に暇を告げに行くと、金兵衛や子分たちは、怖じ気づいてもう逃げ出すのかと皮肉る。

これはもう逃げられないと悟った時次郎は、金兵衛から、中野川に住む六ツ田の三蔵と言う男をやってほしいと頼まれる。

その頃、六ツ田の三蔵(東千代之介)は、鴻巣一派が襲撃してくると察し、女房のおきぬと太郎吉を家の裏から逃がしかけていた。

おきぬは自分の髪から櫛を抜くと、それをまっ二つに折り、その片方を三蔵に手渡しながら、待ってるよと三蔵に告げる。

すでに表戸を叩く音がするので、すぐにお絹を逃がした三蔵は、自ら表に出て行く。

待っていたのは、やはり鴻巣の子分二人と加勢らしき男が一人。

加勢の男はもちろん時次郎だった。

なかなか加勢に加わろうとしない時次郎だったが、鴻巣の子分たちからせかされ、仕方がないと言う風に進み出ると、三蔵に仁義を切り、渡世の義理でここに来る事になったと説明する。

それを聞いた三蔵の方も仁義を返し、事情は薄々分かると答える。

二人は斬り合いを始め、時次郎は三蔵の腹を斬る。

倒れた三蔵にとどめを刺そうとする鴻巣の子分をなぎ払い、その腕を斬った時次郎。

子分二人は、裏切ったなと言い残しその場を立ち去る。

虫の息の三蔵は時次郎の人柄を見抜くと、頼みがあると言い出す。

宿場はずれの水神の祠に女房、子供がいるので、二人を熊谷在の惣兵衛の所へ連れて行ってくれと言うのだ。

時次郎が承知すると、三蔵はこれを女房に渡してくれと、先ほどおきぬから受け取った櫛を託す。

水神の祠の陰で隠れていた女房子供見つけた時次郎は、その二人が渡り船で知り合ったおきぬと太郎坊だった事に驚くが、三蔵を自分が斬った事と、その三蔵から託された約束を打ち明け、嫌だろうが、惣兵衛さんの所まで自分との同行を我慢してくれと頼むのだった。

おきぬは、気丈に時次郎について行きながらも、なぜお前さんのような優しい人があの人を殺めてしまったのか…と嘆くのだった。

何とか熊谷まで到着した三人だったが、村人に聞くと、なんと、訪ねる惣兵衛は、年貢の代わりに田畑を取られた事を苦にして、女房もろとも首をくくって死んだと言うではないか。

頼る相手がいない事が分かった時次郎は、おきぬたちを励ますために、沓掛に行けば何とかなると慰め、故郷に向かう事にする。

そんな三人連れを追ってきたのが、たまたま旦那の所から里帰りしてきたと言う惣兵衛の息子昌太郎(岡崎二朗)、父を訪ねてきた時次郎の事を三蔵と勘違いしているらしく、自分もヤクザになりたいので、下仁田の親分に口をきいてくれとせがむ。

時次郎は、今の状況が状況だけに正体を明かす訳にも行かず、そのまま昌太郎を連れたまま旅を続けざるを得なかった。

ところが、旅の途中で、おきぬが寝込んでしまう。

医者の見立てでは労咳と言う事で、とても来春までは動かせない状態だと言う。

時次郎は、その宿で長屋を借り、そこでおきぬの看病を始める事にする。

食いつなぐため、あれこれ仕事をやってみる時次郎だったが、長続きしないとおきぬに詫びる。

そんなある日、鴻巣一家の追っ手が宿に現れ、ちょうど酒屋で飲んでいた昌太郎に、時次郎の事を知らないかと聞いてくる。

その直後、泥酔した昌太郎が長屋にやってきて、時次郎に鴻巣一家から聞いたおきぬとの事を詰め寄る。

時次郎は、そんな事をおきぬの耳に入れるなと叱り、まさかここの事を相手に教えたんじゃないだろうなと問いかけると、昌太郎はそれは言っちゃいないと言いながらも、下仁田の親分への口利きを承諾しようとしない時次郎の態度に嫌気がさし、もう頼まないと捨て台詞をはいて逃げ去ってしまう。

追っ手が迫った事を知ったおきぬは、時次郎だけに逃げろと勧めるが、時次郎は自分の方か出向こうと言い出し、三蔵から預かっていた櫛を、いつも肌身離さず身につけていたと言い訳しながら、その時初めておきぬに返す。

おきぬは、その言葉に時次郎の自分への気持ちを察し、複雑な思いに駆られる。

追っ手の前に名乗り出た時次郎は、刀を決して手に取らず、相手のなぶりものになる。

しかし、その様子を見ていた立会人は、抵抗しないものを一方的に痛めつけるのは仁義に反するのではないかと不快感を示し、結局、時次郎は解き放たれる事になる。

やがて、おきぬの体調も徐々に戻り、沓掛の叔父からすぐにこちらに来るようにとの頼りを受けた時次郎は、それをうれしそうにおきぬに伝える。

その夜、二人きりで酒を酌み交わした時、おきぬはこれまでの感謝を述べるとともに、母屋の女将さんから借りたと三味線を取り出し、時次郎のふるさとである沓掛の追分を歌って聞かせるのだった。

翌日、旅の仕度を整えて、長屋に戻ってきた時次郎は、そこがすでにもぬけの殻になっている事に気づく。

後には、二つに折れた櫛がそっくり紙にくるまれ残されていた。

おきぬと太郎吉は、共に黙って、時次郎の前から姿を消したのだった。

それから1年の月日が過ぎた。

ひょっとして、沓掛の叔父の所に訪ねて来るのではとの一縷の望みから、時折、沓掛に戻っていた時次郎だったが、杳としておきぬ母子の行方はつかめず、ある雪が降りしきる冬の夜、時次郎は沓掛からの帰りに当たる高崎の宿で酒を飲みながら、女将相手に愚痴話を聞かせていた。

その最中、聞き覚えのある追分が聞こえてきたので、もしやと思い、表に飛び出してみると、案の定、そこにいたのは流れのかどづけに身をやつしていたおきぬと太郎吉だった。

時次郎は探していたと言いながら近づこうとするが、おきぬの方は逃げようとしながらも、恩知らずな女とお思いでしょうねと顔を背ける。

しかし、おきぬは再び身体を壊したらしく、その場に血を吐いて倒れる。

折しも、高崎の八丁一家が聖天一家と喧嘩をする事になり、噂を聞きつけた元子分の安兵衛(阿部九州男)も助っ人になりたいと申し出る。

しかし、もう堅気になっている安兵衛は巻き込みたくないと八丁徳(明石潮)は断る。

その安兵衛の家に、再び病床についたおきぬは身を寄せていた。

安兵衛の女房おろく(清川虹子)が面倒を看ていたのだった。

薬代を調達するため江戸に向かっている時次郎の事を知っている安兵衛は、家に帰って来ると、妻のおろくに、八丁一家の助っ人をすれば10両、20両くらいすぐにもらえるのに…とぼやくが、おろくは、二回に寝ているおきぬの耳に聞こえないようにと固く口止めをする。

そこへ、金の調達がうまく行かなかった時次郎が戻ってくる。

とりあえず、薬だけ持って二階に上がった時次郎に、おきぬは、あの時の櫛はまだ持っているかと尋ねる。

その櫛は、自分の心のつもりだったと言うのだ。

あなたにもう会っては行けないと思いながらも、つい足が沓掛の方に向かってしまっていたのだとも。

おきぬは、もう自分が長くない事を悟っていた。

時次郎は、持っていた櫛をおきぬに返すと言うと、下に降りて行って、先ほど小耳に挟んだ八丁一家の所へ連れて行ってくれと安兵衛に頼むのだった。

八丁徳から金をもらった時次郎は、その金を安兵衛に託し、もし自分が戻らなかったら、沓掛の叔父の所に、おきぬ母子を連れて行ってやってくれと頼んで、鴉川へ向かう。

おきぬは帰って来ない時次郎の身を案じるが、黙っていようとするおろくの気持ちとは裏腹に「出入りだ!」と騒ぐ表の人声が聞こえてしまい、おきぬは事情を察して起きようとする。

しかし、もう身体は言う事を利かず、おきぬは昏睡状態に陥る。

鴉川での出入りで戦いで戦い始めた時次郎は、聖天一家の中に、あの昌太郎が混じっているのに気づき、俺に近づくなと叱りつける。

聖天一家の中には、前に片腕を斬った鴻巣の子分も混じっており、時次郎を見つけると、恨んでいると言いながら斬りつけてくる。

時次郎は、その男を斬り殺す。

その頃、床の中でふと気がついたおきぬは、側に付き添っていたおろくに、紅を取ってくれ、時さんが戻ったときにきれいにしていたいとつぶやく。

おろくが紅を渡すと、おきぬは唇に紅をつける。

やがて、喧嘩が終わり、急いで戻ってきた時次郎に、出迎えたおろくと安兵衛夫婦は、遅かった!たった今、おきぬさんが…と伝える。

二回に駆け上がった時次郎を待っていたのは、静かに息を引き取ったおきぬの遺体だった。

その後、おきぬの位牌を抱え、太郎吉の手を引いた時次郎は沓掛に向かっていた。

その途中の山中で、一人時次郎を待ち構えていたのは、竹槍を構えた昌太郎だった。

どうしても時次郎を倒して一旗揚げたいのだと言う。

時次郎は、百姓に戻れ、やくざなんて虫けらだと諭すが、百姓は虫けら以下だ、俺は、同じ虫でも羽ばたいて行きたいと言いながら、昌太郎は突っかかってくる。

仕方なく、刀に手をかけようとした時次郎だったが、その胸に「斬っちゃ嫌だ」と太郎吉がしがみついてきたので、つかで相手の背中を打ち据え倒す。

時次郎は太郎吉を連れ、黙々と山道を急ぐのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

往年の人気テレビコメディ「てなもんや三度笠」の主人公、藤田まこと扮する「あんかけの時次郎」と言う名前は「沓掛(くつかけ)の時次郎」のパロディだと言う事は、子供時分から薄々知っていたが、そのオリジナルを観る機会はなかなかなかった。

今回初めて観て、この時次郎の虚無的なキャラクターは、後の「木枯し紋次郎」にも少なからぬ影響を与えているのではないか?とも感じた。

中でも傑作と言われているらしい本作は、古風な「禁断の愛もの」と言っても良い作りになっており、ふとしたきっかけで知り合った自分が殺した相手の女房との、微妙な互いの気持ちの高まりとその悲しい結末を描いている。

時次郎の台詞の随所に、やくざ渡世のむなしさ、悲しさを繰り返し説きながらも、剣劇シーンも適所に挟まれ、おきぬとの禁断の仲の進行の盛り上がりとも相まって、最後まで観客をつかんで離さない展開の見事さには感心させられる。

昔、良くありがちな「お涙もの」と言ってしまえばそれまでだが、その完成度の高さもあって、今観ても十分心にしみいる名作となっている。

決して古びた感じがしないのが見事。

出番は少ないながら、印象的なやくざを演じる東千代之介や渥美清、そして何より、本作での池内淳子演じる薄幸な女性像は心に残る。