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海底大戦争

1966年、東映東京+RAMフィルム、福島正実原案、大津皓一脚本、佐藤肇監督作品

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

某国海軍主催の記憶装置を装備した潜水艦搭載新型ミサイル、通称「猟犬」の実験報告会に出席していたのは、東日新聞社の記者安倍(千葉真一)、そして彼の恋人でもある記者ジェニー・グリアソン(ペギー・ニール)や、友人の外国人記者たちも同席していた。

味方潜水艦からのカメラ映像を映し出す映写を見せながら解説しているのは、ブラウン中佐(フランツ・グルーバー)。

いよいよ無人操縦で動いていた目標潜水艦に向けて、「猟犬」が発射される。

見守る記者たちは、記憶装置にミスはないのかと尋ね、ブラウン中佐は99%間違いないが、残りの1%は心配だとジョークで返す。

そんな中、安倍は会見ルームの隅に、原子灰処理センターのハワード教授(アンドレ・ヒューズ)がいる事に気づき、怪訝に思う。

「猟犬」が目標潜水艦に向かう映像を見つめていた記者たちは、「猟犬」が目標をそれ、味方潜水艦に向かっている事に気づき動揺が走る。

その次の瞬間、カメラ前の水中に、人のような影が横切ったかと思うと、味方潜水艦はミサイルを受け爆破してしまう。

記者たちは今の人影のようなものは何だと騒ぎだすが、中佐だけは、そんなものは見ていない。おそらく水死体か何かの見間違いだと言うなり、記者会見を突如中止してしまう。

その後、記者たちは、海辺でくつろぐ事にするが、ジェニーと阿部は二人だけで海に出て行く。

その様子を見た他の外国人記者たちは、二人の仲を暖かく見守る事にする。

しかし、安倍の目的は、ボートで原子灰処理センターがある島の近くに様子を観に行く事だった。

その海底の水深2万フィートの所に、放射性廃棄物が捨てられているはずだったからだ。

一緒にボートに乗り込んだジェニーだったが、先ほどの事故を観ていたせいか、阿部と一緒に海に潜るのを怖がる。

やがて、島の近くに到達した二人が、アクアラングで海に潜る様子を、島から双眼鏡で監視していたのは、ハワード教授とブラウン中佐だった。

二人の行動を冷笑するブラウン中佐に対し、ハワード教授は、近頃、この周辺で奇妙なことが起こっている。数日前にも、夜中、誰かがこの島に上陸しているらしき足跡が残っていたが、この近辺でのダイビングは禁止しているはずだと言い、その奇妙な足跡を写し取った石膏型を中佐に見せるのだった。

その頃、海中に潜っていたジェニーは、水中カメラをうっかり海底に落としてしまったので、一人で取りに行く。

それに気づかなかった安倍は、一人ボートに上がってきたが、そこでジェニーが戻っていない事に気づく。

ジェニーは、岩に引っかかっていた水中カメラに気づくと、それを拾い上げ、海面に戻ろうとしたが、その時何かの気配を感じ振り返ると、そこには世にも恐ろしい生き物が立っていた。

襲われそうになったジェニーは、思わず、持っていたカメラで相手の姿を写すが、そのカメラをまたしても取り落としてしまう。

必死に海面に浮かび上がったジェニーのただならぬ様子に気づいた安倍は、急いで彼女をボートに引き上げてやるため、海に飛び込むのだった。

その後、謎の生物との遭遇の話をジェニーから聞いたブラウン中佐は頭から信用しようとしないばかりか、ジェニーの精神状態を怪しむ言動さえする。

ジェニーは、証拠写真を撮ったが、そのカメラを海に落としてきてしまったと説明するが、中佐は頑として聞き入れようとしない。

ジェニーの言葉を擁護しようとした安倍は、一ヶ月前、原子灰処理センターの近江で漁船が遭難し、奇妙な事に乗組員が全員姿を消した後、水かきがついた奇妙な足跡が残っていたはずだと中佐に詰め寄る。

しかし、中佐は、その足跡なら、潜水服の足ひれと判明したと言い残し、その場を立ち去ろうとする。

その態度に憤った安倍は、証拠の写真が入っているはずの水中カメラを一人で探しに行くと言い出し、その言葉を聞いたジェニーも同行すると言い出す。

その頃、海軍の本部に戻ったブラウン中佐は、先日の記者会見の映像に写りだされた謎の影を再びチェックしていた。

そして、その影の正体が人間なら、アクアラングを背負っていないとおかしい事に気づく。

水中カメラを探していた安倍とジェニーは、水中洞窟のような場所に迷い込み、そこで三匹の怪物に襲われる。

他の外国人記者たちから、安倍とジェニーが海に潜ったまま5時間も戻らないと知らされたブラウン中佐は、ただちに捜査隊を潜らせるが、戻ってきた彼らが持っていたのは、ジェニーが落としたと言う水中カメラだけだった。

その頃、気がついた安倍とジェニーは、周囲をガラスで覆われた不思議な部屋のベッドに、手かせ足かせをはめられ横たえられていた。

その部屋の外から、二人の様子を眺めていた謎の人物たちは、安倍の脳波を調べているようだった。

やがて、安倍たちの手かせ足かせが外れ、部屋の中に入ってきたサングラス姿の外国人らしき男は、君の記憶を調べさせてもらったが、君の頭脳はすばらしいと絶賛し、自分たちの仲間として働いてほしいと誘いかけてくる。

状況が良く飲み込めない安倍は周囲を見渡すが、壁側の外は海中のようで、そこにあの怪物が立っていた。

一方、日本の東日新聞社からは、安倍の行方不明を知った中村デスクが、外国人記者クラブに駆けつけてくる。

すでにブラウン中佐は潜水艦に乗り込み、安倍たちの捜査に出かけていた。

これまで、安倍たちの発言を信じて来なかったブラウン中佐だったが、ジェニーが捉えた怪物の写真を観てからは事態の重要性に気付き、艦内でその写真を隊員たちに見せながら、この怪物捜査に出かけると説明していた。

しかし、そこにやってきた艦長(ブラウン・ガンサー)が、司令部から理由不十分なので、この捜査を打ち切るように指令が届いたとブラウンに言い渡す。

だが、安倍たちの安否に責任を感じているブラウンは、自分一人でも捜査をすると息巻き、艦長と険悪な雰囲気になる。

謎の部屋では、サングラス姿の外国人が、自分はルハス・ムーア博士(エリック・ニールセン)で、同行している女性を助手のルイーザ博士(ビバリー・ケラー)だと、安倍とジェニーに自己紹介し、ここは水深3000フィートの海底にある独裁科学都市だと教えていた。

そして、未来の帝国であるこの都市の事を世界に広く宣伝してほしいと、安倍に依頼するが、安倍はきっぱり拒否する。

そんな態度を見たムーア博士は、ジェニーと安倍を別室に案内する。

その際、ルイーザ博士が胸に付けていたバッジで、扉が開閉する事に安倍は気づいていた。

連れて来られた人間改造室では、今まさに、人間が怪物に変身する最中だった。

あの怪物は、人間を改造手術して人工的に作り出したサイボーグだったのだ。

その手術をしている医者らしき人物の姿に安倍は見覚えがあった。

「改造人間理論」の発案者でスイス人のジョセフ・ハイム博士(マイク・ダーニン)だった。

ムーア博士は、人間が怪物に変貌する様に息をのんでいた安倍とジェニーに、サイボーグの説明をする。

人間の記憶は消され、新しい記憶を埋め込まれたサイボーグには、性別も言葉もなくなり、ただ博士の指令通りに動く兵士になると言うのだ。

その場で試しに「Fight」と言うスイッチを入れてみると、たちまちその場にいた二匹の怪物は戦い始める。

その夜、一人、原灰処理センターの自室で仕事を続けていたハワード教授は、廊下に足跡が聞こえたので不審に思い、ドアを開けてみるが誰もいない。

しかし、その直後、部屋の中に侵入していた3匹の怪物たちに襲撃される。

その頃、ブラウン中佐たちが乗った潜水艦は、異常な放射能数値を感知し、その周辺に放射性廃棄物が大量に投棄されている現場に出くわしていた。

水深わずか800フィートのこんな所に、そんなものがあるはずがなかったが、潜水艦は危険区域から脱出しようとする。

一方、またガラスで覆われた部屋に戻されていた安倍とジェニーは、窓の外に見えるマリンスノーを見ながら、このままでは自分たちも怪物に改造されてしまうが、海底2000フィートのここから脱出は到底不可能だと苦悩していた。

その時、安倍は、ルイーザの胸についていたバッジを奪えば何とかなるのではないかと気づき、ちょうどその直後一人で部屋に入ってきたルイーザを気絶させバッジを奪うと、ジェニーを連れて部屋を脱出する事に成功する。

しかし、別の部屋に逃げ込んだ二人に、待ち受けていた怪物が銛を発射してくる。

二人の行動は監視されていたのだった。

部屋には、二人の裏切り行為をあざ笑うかのようなムーア博士の声が響き、そこにカプセルに入れられたハワード教授が連れて来られる。

翌日、中村デスクは、他の外国人記者と共に、セスナ機で安倍たちの捜査に飛び立つが、すぐに、海上を進む海軍の潜水艦を発見する。

ムーア博士は、海底都市に近づいて来る海軍潜水艦に気づくと、冷笑しながら迎撃ミサイルの準備を命ずる。

安倍、ジェニーと共に、いすに手足を固定されていたハワード教授は、ムーア博士に同行してきたハイム博士の姿を間近に見て、指導的立場にいる偉大な科学者がなぜこんな所にいるのかと驚愕する。

それに対し、ハイム博士は、ここは科学の理想郷であり、自分たちは原子灰をエネルギー源にしているばかりか、すでに我々はプルトニウム爆弾も持っていると打ち明ける。

そして、仲間になろうとしないハワード教授への見せしめのために、まずジェニーと安倍が人間改造室に連れて行かれる事になる。

まず皮膚組織の改造から始まるが、その途中、ブラウン中佐らが乗った潜水艦が接近してきたので、基地の位置を探られないために、ムーア博士はすべての基地内の信号音を停止させる。

その間、手術台の上で必死に抵抗する安倍とジェニーだったが、麻酔をかがされる。

ムーア博士は、潜水艦に対し、ミサイルを発射させる。

それに気づいた潜水艦は、誘導回路を発射、ミサイルを海上に誘導すると、サブロックで迎撃する。

ムーアその頃、麻酔から目覚めた安倍は、隣に寝かされていたジェニーの身体が少し変化している事に気づく。

ジェニーもそれに気づき、悲しみの悲鳴を上げる。

ムーア博士は、続けてミサイルを連射させる。

もはや誘導回路を発射する時間がないと判断した船長は、舵を切らせ、何とかミサイルから逃げるが、その直後、とうとう環礁の奥に隠れていた謎の海底都市を発見する。

その頃、安倍は改造室にやってきた監視係と一人戦っていた。

潜水艦艦長は核攻撃を指示しようとするが、それでは、あの基地に捉えられ生きているかもしれない安倍やハワード教授らを見殺しにする事になるので、限定的な破壊に向いたシーウルフを発射すべきだと主張したブラウン中佐は、船長の制止も聞かず、独断で海底都市に対しシーウルフを発射させる。

基地のミサイル発射部に命中したシーウルフは爆発、その影響で基地内のサイボーグ操縦装置が故障したためか、サイボーグモンスターたちが一斉に反乱を起こし、基地の人間たちに水中銃や拳銃で襲ってくる。

ルイーザも、サイボーグから銛で射抜かれ死亡する。

サイボーグを作った張本人ハイム博士もサイボーグから襲われ、銃で反撃するも、撃たれても半死半生のサイボーグ半魚人から首を締め付けられ息絶える。

その混乱に乗じ、ハワード教授は、安倍とジェニーを救いにくる。

脱出しようと改造室を抜け出した3人だったが、待ち受けていたサイボーグたちに遭遇する。

安倍は、その内の一人を感電死させる。

原子動力源にも異常をきたし、今や基地全体が爆発の危機に陥ったとハワード教授は説明する。

そんな中、脱出装置で逃げ出そうとするムーア博士と護衛たちの姿を発見した安倍は、それを阻止しようと、一人たち向かって行く。

護衛の一人(室田日出男)が、脱出用カプセルの入り口を開けたのを見届けた安倍は、奪った銃をムーア博士に突きつけて人質にするが、狡猾なムーア博士は隠し持っていた銃を取り出していた。

護衛と格闘し、相手を水中に突き落とした安倍を、ムーア博士の銃が狙う。

しかし、そのムーア博士が突如倒れる。

ハワード教授が、やはり奪った銃で、ムーア博士の背後から撃ってくれたのだった。

ジェニーとハワード教授を連れ、安倍は脱出ポッドの中に入るが、発射ボタンの位置が分からない。

そこにドアが開き、死んだと思っていたムーア博士が入り込んでくる。

ムーア博士は、ジェニーを捕まえると、安倍たちを追い出し、二人だけで脱出しようとするが、ジェニーが抵抗、再びポドに入り込んだ安倍がムーア博士を殴り、外に追い出すと、ジェニーが、たった今、ムーア博士が手をかけようとしていたスイッチを教え、安倍がそのスイッチを押す、

脱出ポッドは基地を発射し、その直後、海底基地は大爆破を起こしてしまう。

その後、空港に戻ってきたセスナから降り立ったデスクや外国人記者たちに、潜水艦から連絡が入り、安倍やジェニーが助かったと言う。

しかし、潜水艦で目覚めたジェニーは、安倍たちに気づくと、変身しかけた自分を恥じ、見ないでくれと嘆くが、安倍から促されるまま自分の手を見ると、元に戻っているではないか。

安倍は笑いながら、一緒に脱出してきたハワード教授が、元に戻る治療法を知っていたのだと言う。

それを聞いたジェニーは急に元気を取り戻し、仲間の記者の電話に進んで出ると、すごい特ダネをつかんだのよと自慢するのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「アマゾンの半魚人」のようなモンスターが登場するので、一見「モンスター映画」と勘違いしそうな内容だが、どちらかと言うと、東宝合作映画「緯度0大作戦」などの雰囲気に近い「ユートピアテーマのSF映画」と言った方が良いかもしれない。

ただ、今の感覚からすると、アクションも怪奇要素も薄味で、大人が観るには物足りず、やや子供向け冒険活劇レベルに見えるのは否めない。

物足らなさの原因の一つは、主人公が今ひとつはっきりしていない所。

一応、日本人の目からすると千葉真一に思えるのだが、これがほとんど手術代に縛られたまま活躍しないと言うのがもどかしい。

改造手術の設定などは、明らかに「仮面ライダー」に似ているのだが、千葉自身がスーパーヒーローに変身する訳ではないので、超人的なアクションがある訳でもない。

もう一人、海外向けを意識してか、ブラウン中佐と言うのも、やや感情的に見えるものの主人公風にヒロイックに描かれており、彼が乗り込む潜水艦対海底基地の攻防と言うのが見せ場の一つになっているだけに、よけいに千葉真一の印象が弱くなっているのだ。

編集面でも気になる部分があり、改造室で改造されかけていた千葉真一が、一人の監視係と格闘している場面があるので、そこから脱出へと展開するのかと思っていると、少し後のシーンになると、また何事もなかったかのように千葉は手術台に縛られている。

結局、監視係に取り押さえられたと言う風に解釈するべきなのだろうが、こういうあまり意味のない中途半端なアクション描写も、活劇としての印象を弱めている。

怪奇要素にしても、半魚人のデザイン自体が寄り目のユーモラスな表情にしか見えないし、着ぐるみも、照明をフラットに当てているので陰影もなく、いかにも服を着ているようにしか見えず迫力不足。

ジェニーたちが改造されそうになると言う辺りも、今の特殊メイク技術を持ってすれば、もっと変身途中の不気味さが表現でき、ジェニーの恐怖と悲劇性を強調できたと思うのだが、ほとんど通常の状態と見た目的に変化がないので、ジェニーのパニック表現がわざとらしく見えてしまう恨みもある。

ただ、こうした点は、いろいろ特殊技術が発展した今の目線で観たら…と言う事であり、60年代当時とすると、この程度の表現が限界だったのかもしれない。

改造される人間がモンスターに変身する所など、コマ撮り技法でそれなりに丁寧に描かれているし、潜水艦の描写なども、東映にしては珍しく、大きなスケールものが作られ撮影したようで、東宝特撮に遜色のない出来になっている。

TVマスクヒーローでデビューしたこの時代の千葉真一は、結構、この種の空想科学映画に出演している。

共演のジェニーを演じるペギー・ニールは、この翌年、松竹作品「宇宙大怪獣ギララ」にも出演する事になる。

海底基地のイメージやアクションの一部には、当時ヒットしていた「007」シリーズの影響が見られる。


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