TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

女岩窟王

1960年、新東宝、小野田嘉幹脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

九州最南端のある港町。

キャバレー「ブルームーン」で踊る2人の姉妹、ルミ(三原葉子)、エミ(万里昌代)は、店にやってきたコールマン鬚のボス、岩原(江見俊太郎)に目を付けられ、エミがその餌食となってしまう。

ルミの方も、かつて店のマネージャー矢島によって身体を奪われていた。

その夜、知らずに麻薬取引の手伝いをさせられた姉妹の弟しんちゃんは、突然現れた何者かによって、ブツをそっくり盗まれてしまい、激昂した岩原、矢島らから監禁されてしまう。

姉妹らに同情したヤクザ仲間のたけしによって、一旦は逃げ出す事に成功したしんちゃんだったが、何者かが投げたナイフによって殺害されてしまう。

猿島という離れ小島で行われる金竜組の取引の噂を聞き付けた岩原ら一行、麻薬を強奪したのが彼らだと察しを付け、現場に乗り込むと、銃撃戦の末、たちどころにブツを取り戻す事に成功。

ついでに、弟の事件を警察へ密告しようとした姉妹と、彼女らを手助けしたたけしを一緒にその場で始末しようとする。

なぶるように銃弾を浴びせるヤクザたちから逃げ回っていた三人は、山肌に開いた廃坑へと逃げ込むが、たけしは背中に銃弾を受け絶命、そのはずみで廃坑が崩れ、姉妹は生き埋めになってしまう…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ここからタイトルにある通り「岩窟王」風な趣向が待っているのだが、基本的には、彼女たち姉妹の「お色気サービス」を強調するために用意されてたシチュエーションというべきだろう。

数日間というもの、岩を伝う清水で咽をうるおす以外食べるものもなく、洞窟内を彷徨っていた2人だったが、ルミが足を滑らせ『岩肌の下へ落ちた』事から脱出のきっかけが見つかる。

海鳴りの音が聞こえるのに気付いた2人は壁が薄いと判断、必死で石を打ち付け穴をあける事に成功する。
しかし、彼女らが見た外の風景は驚くべき事に『自分達が海面よりも50mほども高い場所にいる事』 に気付く。さらに、外から入ってきた光に照らされた洞窟内に古い時代の海賊の宝箱らしきものものを発見する。(この辺のナンセンスさが楽しい)

何とか、その断崖絶壁を伝い降りた2人は、ぼろぼろになった服を脱ぎ捨て海で身体を洗うと、元の服を利用した簡易水着に着替える。
やがて、彼女らは島に接近するヨットを発見。
横浜からやってきたという一人の青年(吉田輝雄)に助けられるのだった。

後半は横浜に舞台を移し、岩原らが二階堂と名乗る黒眼鏡姿の謎の富豪婦人や洋子と名乗るエミそっくりの女に出会い、彼女らに翻弄されて行く様が描かれているが、正直凡庸な展開で盛り上がりにも欠けるものになっている。

全体的に低予算、通俗ものの典型というような作品で、とても万人向けの内容とはいいがたいが、その手の珍品好きには楽しめるかも知れない。

余談だが、冒頭、踊るルミ、エミ姉妹の後ろに蝶の模様のステンドグラス風セットが映っているのが、本作の翌年に公開された東宝の特撮大作「モスラ」を連想させる。

「モスラ」で小美人を演じたザ・ピーナッツ姉妹の名前は伊藤ユミ・エミである。