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1970年、渡辺プロ、前田陽一監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

下着メーカー「クローバー」のさえない社員酒田(堺正章)と山辺(なべおさみ)は、いつもやる気がなく、失敗ばかり繰り替えしている販売課の納品係、平山係長(犬塚弘)と共に、社内に新設された「外国課」という部署に配属される。
そこには、彼らと同じように、頼り無いメンバーばかりが集められていた。

社長と部長(藤村有弘)からの命令により、彼らは心身を鍛え直す為に自衛隊へ体験入隊する事になる。

戦時中、外地で空挺部隊の経験のある平山は、パラシュート訓練などをやらされる内に見る見る生気を取り戻し、終戦間近だったある日、自分の身替わりになってこの場所で不発弾処理をしたため爆死してしまった桜田伍長(桜井センリ)の思い出話を部下達に話して聞かせる。

ところが、その話をそばで聞いていたある男から、平山は意外な打ち明け話を聞かされる事になる。

実は、本土決戦に備え、秘かに軍資金を埋蔵する話をうっかり聞いてしまった当時の平山は、前田参謀(田島義文)からスパイの疑いをかけられ、不発弾処理を利用して暗殺される所だったというのである。

関係者はその後全て亡くなってしまったという。

気になるのは、埋められたはずの軍資金。

演習場内にある桜田伍長の墓で偶然出会ったその母親(浦辺粂子)と、彼女を養老院で世話するよしえ(吉沢京子)のために、何とか大金を手にしたいと考えはじめた山辺たちは、戦時中の資料などが展示された空挺館という場所で前田参謀の手帖を見つけ、埋蔵金の隠し場所のヒントを得る。

彼らと同じく、自衛隊に野球部の合宿として参加していたライバル会社「ピンチー」の女性社員の入浴姿を盗み見たとしてキャプテン(島かおり)と監督(いかりや長介)に糾弾された酒田たちは、伊藤二尉(北浦昭義)の仲介により、野球の試合で事の勝敗を決する事になるのだが、平山は、これこそ埋蔵金発見のグッドチャンスとばかり作戦を練り始める…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

驚いた事に、全編、本物の自衛隊の訓練風景が描かれている。

出てくる施設、飛行機、車両、戦車なども全て本物。

何故このような撮影が可能だったのか。

実は、劇中にヒントが隠されている。

後半、施設内で「自衛隊創立20周年記念」と銘打たれたパーティが催されており、そこにザ・タイガースや布施明といった、当時のナベプロの人気者達が登場するのである。(マチャアキの名コンビ井上順之も自衛隊員役で登場)

おそらく、そうした慰問活動の関係でつながりがあった自衛隊に、ナベプロが撮影協力を依頼したのであろう。

ザ・タイガースなど、居並ぶ本物の戦車の上に乗って演奏している。

ジュリー(沢田研二)やサリー(岸部一徳)はともかく、ぼーっとしている超ロンゲスタイルの岸部シローが戦車の上でギターを弾いている姿にはどこか違和感を感じないでもない。
いいのか?シロー、そんな事して…。

女性チームとの野球試合、メンバーが足りない平山チームの助っ人ピッチャーとして登場するのが、何とジャイアント馬場であるのにも驚かされる。
プロレスラーになる前、巨人軍で実際にピッチャーをやっていた姿は、ニュース映像などでチラリと観た事はあるが、映画の中でも投げていたとは…。

結末は大体予想されるような内容だが、堺正章となべおさみ主演、前田陽一監督で撮られた一連のコメディ作品中、一番見ごたえ感がある作品になっていると思う。