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青葉繁れる

1974年、東宝映画、井上ひさし原作、小林俊一脚本、岡本喜八脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ミノル(丹波義隆)は、杜の都、仙台の男子高に通う、成績は悪いが、煩悩だけは人一倍多き青年。

毎朝、5分で行ける学校に、わざと遠回りして通っている。
その理由は、女子高へ通学途中の女の子たちと出会って、あれこれ妄想する楽しみを味わっているからだった。

劣等生仲間のデコ(伊藤敏孝)、ジャナリ(粕谷正治)と一緒に、いつも勉強部屋の窓から隣の飲み屋のきれいな女将、多香子(十朱幸代)の様子を憧れの眼で盗み見ていたミノルだったが、ある日、町でその多香子と歩いていた長身のハンサムな青年が、東京からの転校生としてクラスにやってきたからさぁ大変!

そのハンサムな青年、渡部俊介(草刈正雄)が日比谷高校出身という事もあって3人は猛烈な嫉妬と反発を感じるが、実は多香子の腹違いの弟だったと分かり、現金なもので、逆に親しみを覚えるようになる。

そんな彼らの高校の演劇部に、合同で演劇を試みる事になる女子高の生徒数名が打ち合わせに訪ねてくるのだが、その中に、世にも美しい「モナリザ」のような美少女がいるのを発見、学校中大騒ぎになる。

その美少女の名は若山ひろ子(秋吉久美子)。

窓から覗いて、彼女に一目惚れした俊介は、その場で打ち合わせの場に乱入。
ちゃっかり、英語劇「ロミオとジュリエット」の公演を提案して、自らが演出担当として参加してしまう。

それを見て治まらないのが、ミノルら劣等生3人組。
自分達も、急遽、演劇部へ入部届けを出し、端役A、B、Cを何とか獲得するのだったが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

おちこぼれ高校生たちの、滑稽かつほろ苦い青春の1ページを暖かい目線で綴った一編。

知的ハンデがある為、何者かに妊娠させられてしまった小学校時代の同級生、ハツ子(鶴間エリ)の薄幸さや、多香子と付き合っているらしき事から憎悪の対象であったチョロ松こと松田校長(ハナ肇)と、意外な交友関係を結ぶ事になる顛末などが印象深く描かれている。

彼らの担任を演ずる草野大悟や、ミノルの父親役、名古屋章ら、味のある脇役陣もいいが、何といっても笑わせられるのは、原作者井上ひさしを模していると思しき主役ミノルを演じている丹波義隆のそっくりさんぶり!ここまで瓜二つだと、原作者に失礼ではないかと心配したくなるほどである。

本作での秋吉久美子はセリフもなく、登場場面も限られているが、その瑞々しさは強烈に印象づけられる。

全体的にコンパクトなドラマだが、後味は悪くない。

面白うて、やがて哀しき青春ドラマの好編である。