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伊賀の影丸

1963年、東映、横山光輝原作、高田宏治脚本、小野登監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

タイトルはアニメ、それに、子供らが歌うテーマ曲が重なる。

1582年6月2日、本能寺の変の後、明智光秀とその配下、森近江守(津村礼司)は、わずか10名の側近と共に、堺から、旧知の百地三太夫(高松錦之助)がいる伊賀越えをして浜松に戻ろうとしていた徳川家康(北龍二)一行を捜しまわっていた。

その頃、伊賀の里では、都に修行に出て3年経つ三太夫の息子、影丸(松方弘樹)からの帰りを知らせる火矢「赤星」が空を飛ぶのを見て、少年の大八(斎藤信男)、少女、小夜丸(小野悦子)、そして、幼馴染みの右京(御影京子)らは喜んでいたのだが、その夜、里に妖し気な霧が覆いはじめる。

その霧こそ、阿魔野邪鬼(山城新伍)率いる甲賀七人衆の一人、半助(吉田義夫)の吐く毒煙であった。

甲賀の襲撃を受けて事を知った里の伊賀衆達は、必死の応戦をするが、ほとんど全滅。

邪鬼との対決で深手を負ったお頭の三太夫を抱えたまま水の中に逃げ込んだ右京は、忍術で姿を隠し、かろうじて難を逃れる事が出来たが、その後、ちょうど帰郷した影丸と再会を果たした三太夫は、家康の警護を影丸に託した後、息を引取り、一つの刀の鍔に姿を変えてしまう。

影丸は、半助、半太夫(波多野博)、十兵衛(阿波地大輔)、犬丸(浅野光男)、五郎兵衛(楠本健二)、くも丸(団徳麿)ら甲賀七人衆の攻撃を受けながらも、忍法「木の葉隠れ」を使い、かろうじて、その場を逃れると、無事だった大八たちと合流した後、犬撃峠で甲賀衆らに待ち伏せられていた家康を助け出す。

その後、無事逃げおうせた家康に出会う事が出来た影丸だったが、一緒に逃したはずの大八の姿がない。
家康を問いつめると、途中で捕まってしまったという。
たかが、子供と、天下を握ろうという自分のどちらが大切なんだと迫る家康の言葉を背中に、影丸は大八奪還のため、敵の直中へ戻って行く。

甲賀七人衆に捕まり、木に吊るされていた大八の前に現れたのは、近くの森に住むお手玉の甚作(羽柴久)。
大八の刀を盗み出した所を、甲賀衆に見つけられ、追いかけっこをしている内に影丸と出会う。

見張りの犬丸を倒し、無事、大八を取り戻した影丸と甚作は、家康と待たせていた右京と小夜丸の元へ戻るが、先を急ぐ家康は、二人が止めるのも聞かず、一人で出発してしまったという。

地獄谷で、又しても、生き残っていた甲賀衆たちに襲われていた家康の前に、影丸は出現する。
敵を倒した影丸に、家康は、子供を見捨てようとした自分を恥じて詫びる。
影丸も又、一旦は家康の人間性に疑問を持ったが、今は又、一人でも前進しようとする彼を見直し、その身を護衛すると誓うのだった。

いよいよ、邪鬼との一騎討ちの時が迫っていた。

湖に誘き寄せられた影丸一行は、水中での戦いを得意とする甲賀忍者の罠だとは分かっていたが、右京と小夜丸が彼らに捕らえられた事を知った影丸は、すすんで湖に潜り、邪鬼との戦いに挑むのだった。

七人衆の中で、ただ一人生き残っていた半助の吐く毒霧が湖面を覆い尽くし、影丸は息つぎのため、湖面にも顔を上げられなくなる。

その時、縛られていた右京が、紐を解き、自ら水中に身を投げると、湖面に蓮の花が咲き。その花が毒霧を吸い取ってしまった。

その瞬間を見のがさず、影丸は、水に潜ってきた半助を斬り、一旦、岡へ戻ると、父親が姿を変えた刀の鍔を空中に投げ付ける。

すると、その鍔が光り、湖面が爆発、水中に潜んでいた邪鬼は、空中に飛び出して来る。

その瞬間、影丸も又、空中に飛び、両者が交差して、ストップモーション。

ラストは、家康と共に馬に跨がり、右京や子供らに別れを告げる影丸の姿があった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

アニメ、ワイヤーワーク、合成、スタント…と、様々なテクニックを駆使した忍術映画になっている。
ユニークな術を使う七人衆のキャラクターは、後の同じ原作者作品「仮面の忍者 赤影」に受け継がれている。

まだ、あどけなさが残る松方弘樹の忍者スタイルは、細身の忍び装束にやや腰高に帯を締めた独特のもの。
かっこいいのか、ダサいのか、正直判断に迷う。
覆面をとった素顔は、髷などは結っておらず、ややウエーブをかけた今風の髪型である。

邪鬼を演じる山城新伍も、喉元当たりに、早くも肥満の徴候が見受けられる頃ながら、テレビのヒーロー人気を意識してか、ちょっと気取った悪役を演じている。

あれこれ、細かな見せ場の連続にはなっているのだが、今一つ、記憶に残るような大胆なアイデアや見せ場に乏しく、全体的に何となく凡庸な印象しか残らないのが残念。