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ガン・ホ−

不況に苦しむアメリカの地方都市が、成長著しい日本企業を誘致する事で、街の活性化を計ろう…とするお話。
主役マイケル・キートンが、日本を訪れるシーンがタイトルバックに流れるが、新幹線と農村の稲田風景という、近代日本のコントラスト要素を両面見せているのが、まず面白い。
誘致の話がまとまり本編が始まると、日本企業を迎えるアメリカの街の人々の目に映る日本人像の珍妙さが、作品の見せ場になってくる。
親ぼく目的で催された少年野球大会に、ラフな格好で集まったアメリカの少年たちに対し、全員がお揃いの新品ユニフォーム姿で登場する日本人少年たちや、仕事の話に女性の同席を好まない(女性は、仕事の話に口を出さないものだ…とする)日本人社員の姿には、思わず苦笑させられる。
しかし、日本人社員たちが全員、ふんどし一本の姿で、朝の川に入り「みそぎ(?)」行為を行う…とか、ホームパーティに現れた日本人社員の妻が、どう見ても「芸者」にしか思えない描き方をされている部分など、相変わらずの「勘違い描写」が気にならないでもない。
しかし、基本的に、日本企業の底力が認められていた時代の作品だけに、それほど、日本人描写に「笑い」を取る目的以外の悪意はないように思える。
途中、文化的ギャップにギクシャクしていた両国の関係も、最後には、日本人の優秀さや弱味をも知ったアメリカ人現地採用者たちが一致協力して、社長が命じた、無理な生産目標を達成する…という、ちょっと、ありふれたまとめ方をしているが、これは御愛嬌というものであろう。
バブル期の日本を、「キワモノ」扱いではなく、わりと正面から描こうとした、意外に真っ当なコメディ(?)作品だと思う。
社長役で登場する山村聡の姿に、ちょっと驚いたりもする。(「トラ!トラ!トラ!」(1970)での山本五十六役で、向こうでも知られているからか?)