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クレージー黄金作戦

プログラムピクチャー全盛期の1967年、東宝とナベプロ(渡辺プロダクション)提携作品。
博打好きの坊主(植木等)、衛生大臣を目指す代議士(ハナ肇)、偶然に助けた外国人の財産を受け継ぐ事になった医者(谷啓)が、各々別々の事情からアメリカに渡る機内で意気投合し、ドタバタの末、ラス・ベガスで一山当てる…というのが、基本的なストーリーになっている。
各々、当時の人気キャラクターを生かしたコント的な笑いを繋げている感じで、映画として物凄く面白い…というほどではない。
しかし、この作品の売りは、何と言っても、シリーズの成功に気を良くしたスタッフたちが、「御褒美」を兼ねてアメリカ旅行している…という感じそのものが、興味深いのである。
1ドル=360円の時代、まさしく、ハワイやロスアンゼルスは、日本人にとって、夢のまた夢の世界であったのだ。
そうした時代の中、ハワイの浜辺には、加山雄三がウクレレ奏でて歌を歌い、ラス・ベガスの目ぬき通りで、クレージーの面々が踊りまくり、ホテルのステージではザ・ピーナッツ、ブルーコメッツ、ジャニーズらが歌い踊り…、これが当時の日本人にとって、「夢の世界」でなくて何だろう。
有島一郎、飯田蝶子、藤岡琢也、藤田まこと、浜美枝、園まり、ドリフターズら懐かしい連中が、脇役として顔を見せるのも嬉しい。
話は後半、アメリカのギャングを巻き込んだ国際色豊かなドタバタも加わり、まさに、映画黄金時代の豊かさを感じさせてくれる。
シリーズ前半の「サラリーマンもの」から「ナンセンスもの」への移行期の作品として、一見の価値はある。
とにかく、皆、出演者が若い!
高度成長期のパワーが、今でも伝わってくるような、元気一杯の作品である。