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101匹わんちゃん大行進

近年、実写化された「101」「102」の原点アニメ。
この時期、コピー機が発明された事もあり、それまで、ペンで原画をトレースしていた部分を、コピーによる転写に移行した作品。
その分、それまでの「カラー線画」独特の柔らかい味わいはなくなり、黒く強い鉛筆タッチがそのまま画面上での荒々しさにも現れている。
ストーリーは、オリジナルの毛皮を作ろうと、子犬を多数誘拐していた一味から、他の動物たちの協力もあって子犬たちが逃げ出す…といった他愛のない「追っ掛けもの」。
それでも、悪女クルエラのキャラクターが強烈で、この作品の魅力はそこだけにある…といっても過言ではないかも知れない。
黒と白に分かれた彼女独特の髪型は、後年の手塚作品「ブラックジャック」の髪型にも影響を与えているのではないか…とさえいわれている。
繊細な風景描写など、ディズニー作品らしい肌理の細かさは健在で、すでにこの時期、御大、ウォルトの現場参加は少なかったと思われるが、その分、説教臭さはなくなり、娯楽に徹した軽快な作品になっているとも言えよう。
初期ディズニーの臭みを嫌う人にも、この時期の作品は抵抗なく観られるのではないだろうか。
動物同士が、冬景色の中、遠吠えで情報を伝えあう…というシーンは、東映動画作品「わんわん忠臣蔵」(1963)にも、影響を与えている。
肩の凝らない、娯楽アニメの秀作。