1958年、宝塚映画、佐伯幸三監督作品。
戦時中、大映で作られはじめた時代劇ミュージカル「狸御殿もの」の東宝版。
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困窮するきぬた城では、財政建て直しのため、城主、阿波守(左卜全)と家老、狸左衛門(有島一郎)が、きぬた姫(雪村いづみ)に、裕福な満月城の若君、狸吉郎(美空ひばり)との政略結婚をさせようと見合いの準備に余念がなかった。
しかし、当のきぬた姫はそうした策略に嫌気がさし、世話係りの狸路(千石規子)の目を盗み、狸の腹鼓の魔力で城から抜け出てしまう。
一方、きぬた城に向っていた狸吉郎は、城下の旅籠に差し掛かったところで一杯の水を所望する。
その水を差し出したのが、孤児の身の上で女中をしていたおくろ(雪村いづみ-二役)。
狸吉郎は水の礼に、一輪の薔薇を盆に乗せて彼女へ返すのだった。
夕暮れ時、町外れで町娘に変身したきぬた姫は土地の男どもに襲われそうになり、恐ろしい蜘蛛の女王(淡路恵子)が待ち受ける蜘蛛の巣谷に墜落してしてしまう。
一緒に蜘蛛の巣に捕らえられていた蝶の精、お蝶(白川由美)共々、危うく女王に食われそうになる寸前、たまたま近くを通りかかった若侍、狸千代(山田真二)に助けられる。
主人に命ぜられるまま、きぬた城に狸団子を献上に出かけたおくろ、狸路や狸左衛門に発見され、その瓜二つの容貌を見込まれ、きぬた姫の身替わりにさせられてしまう。
その頃、町の旅籠に近づいたきぬた姫の方は、女中のおくろに間違えられていた…。
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お分かりのように、本作は「とりかえばや物語」がベースになっている。
劇中、ひばりといづみが歌うのはもちろん、同時期、江利チエミを加えた「三人娘もの」でもお馴染みだった共演者の山田真二まで歌うシーンがある。
さらに、狸祭りの前夜祭では、やぐらの上で、佐原健二と河内桃子の2人まで歌っているではないか!
おくろに間違えられたきぬた姫が、旅籠で接客する相手として、ダイラケこと、中田ダイマル・ラケット、さらに、ミヤコ蝶々、南都雄二コンビなどが登場して絶妙の漫才ネタを披露するのも見どころ。
さらに圧巻は、お城でのショー。
トニ川狸之丞(トニー谷)の司会で登場する浜村美智子。
時代劇 なのに、何故かいきなりカリビアン風の水着姿で彼女が歌うは、御存じ「バナナボート」!!
「♪デーオ!イデデ〜ヨ…」と歌う、エキゾチックな彼女の圧倒的な存在感に魅了される。
宝塚映画という事もあって、全編、時代劇でありながら、バタ臭いミュージカルテイストが満載である。
「タヌキの国のお話」という前提で、何でもありのファンタジーが成立する面白さ。
この日本独特の時代劇ミュージカルは、一回見ればハマる事請け合いである。
