1965年、東宝、千早正隆「大平洋海戦最大の奇跡」原作、円谷英二特技監督、丸山誠治監督作品。
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ミッドウェイでの敗戦後、北からの支援部隊として派遣されていたアッツ島部隊は、アメリカ軍の攻撃によって玉砕してしまう。
同じアリューシャン列島のさらに東に位置するキスカ島にも5200人の日本軍が残っていたが、連日の空爆で、もはやアッツ島と同じ運命を待つしかないと思われていたが、海軍省では何とかこれを救い出さんと会議が行われていた。
川島中将(山村聡)は、反対する作戦部長(西村晃)を押しきり、軍総長(志村喬)に救出作戦を決断させる。
作戦参謀には国友大佐(中丸忠雄)、戦艦司令官には旧友の大村少将(三船敏郎)を抜擢する。
すでに、敵の攻撃基地も体制が整い、そのまっただ中に乗り込むのは自殺に等しい行為であったが、大村は冷静に、キスカ周辺に発生する霧に乗じて乗り込む事にする。
縦一列に並んで進む艦隊。
連絡用の無線は一切使用できない。
その遂行は、想像を絶する困難の連続であった。
はたして、キスカ島に残る日本軍は、無事救出されるのか…。
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藤田進、田崎潤、土屋嘉男、平田昭彦、久保明、佐藤允、黒部進、二瓶正也、阿知波信介など、東宝オールスター出演による実話の再現である。
ミッドウェイ以降の戦況を描いた戦争映画は、どうしても悲惨なものになりがちだが、本作は日本版「大脱走」ともいうべき内容で、モノクロという事もあってか、全体的に地味な印象ながら、珍しく爽やかな作品に仕上がっている。
特に、円谷英二の手による特撮は見ごたえ十分。
この時期の怪獣映画しか知らない人には、ぜひとも、そのリアルな描写を観てもらいたい。
霧の中、キスカ島の西方、未知の浅瀬部分を艦隊が進行するシーンは圧巻である。
作戦の肝ともいうべき、「霧の発生」を予知する気象班長を演ずる若い児玉清が印象的。
三船敏郎も、冷静沈着な司令官を妙に気張らずさらりと演じており好ましい。
劇中、霧の中で、視力をなくした日本の戦艦同士が、衝突寸前でギリギリ互いの船体を擦りながらすれ違うという緊迫感溢れる特撮シーンは、「SW/帝国の逆襲」でのスターデストロイヤー同士が衝突しかけるシーンに引用されているのではないか。
知られざる戦争映画の秀作の一本である。
