1969年、東京映画+渡辺プロ、岩内克己監督監督作品。
ザ・タイガース主演映画第三弾。
この作品から、トッポこと、加橋かつみが脱退、代わって、サリーこと、岸部おさみ(現-一徳)の実弟、岸部シロー(肩までのロンゲスタイル!)が加わっている。
▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼
ジュリー(沢田研二)はロンドンで自分が楽しんでいる夢を見る。
しかし、現実は、スケジュールをこなすだけで精一杯の毎日。
そんな彼らタイガースの楽屋に、一人の怪し気な男が出現する。
「デモン鬼太郎」と名乗るその男(藤田まこと)は、「時間を買わないか」と言い出す。
契約書にサインすれば、好きなだけ自由になる時間をあげるが、契約時間内に元の場所に戻れなければ契約者の魂を貰い受けるという。
魂を失っても別に死にはしないが、人を愛したりする事は二度とかなわなくなる…。
あまりに非現実的な話だったが、何故かジュリーだけは興味を示し、あっさり契約書にサインをしてしまう。
その結果、ジュリーは自分だけ自由な時間を一時間だけ手に入れる事ができ、久々に外へ出かけ、気ままな時間を過ごす。
後からその話を聞いた他のメンバーたちも興味を覚え、次に鬼太郎が出現した時、全員契約してしまう。
ところが、悪魔大王から魂収集を命じられている鬼太郎、ここぞとばかりに、魔女のマジョリー(杉本エマ)に相談を持ちかけ、タイガースの帰還を邪魔しはじめる。
マジョリーのお色気作戦にまんまとひっかかり、海辺で車が動かなくなってしまったタイガースたち。
そんな所に偶然サンドバギーで通りかかったのが、歌手志望の女の子、新倉めぐみ(久美かおり)だった。
彼女のおかげで、何とかその場のピンチを脱したメンバーたちだったのだが…。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
一見相変わらずの他愛ないアイドルファンタジーに思えるが、冒頭、ドキュメンタリー風の映像にタイガースに対する一般のファンたちの本音トークがかぶさり、タイガースが可愛さだけのアイドルグループから、そろそろ脱皮する時期である事が暗示されているのが興味深い。
作品の中で流れる曲も、前二作とはうって代わり、全体的に大人びた歌が多くなっている。
本作で注目すべきは、何といっても、歌も歌えず楽器も弾けない、唯背が高いだけの青年が、いきなりトップアイドルグループに参加させられ、全国の女の子たちから、あのジュリー同様、熱狂的な声援を受け始めるという、とんでもない事態に巻き込まれた岸部シローの存在そのもの。
この映画は、彼が加入した直後に撮られたもの。
良く観てみると、彼は歌も歌っていなければ、楽器といっても、唯タンバリンを申し訳程度にカシャカシャゆらしているだけ。
ああ、それなのに…、彼は、ジュリーに次いで、他のメンバーよりも妙な存在感があるのである!
芸風は今と全く同じ、やる気がなさそうに絶えずボーっとしているだけ。
他のメンバーたちが、懸命に演技しようとしているのに対し、彼はかったるそうに付き添っているだけ。
緊張感を全く感じない。どこかヘラヘラしている…というか、ふてぶてしいのである!
ところが、彼が喋る大阪弁のセリフは、何故か、メンバー中、一番自然に聞こえるし、はっきりいって、リーダーとして頑張っている兄、岸部一徳より気になるキャラクターになっている。
この作品を観ると、一見何の芸もなさそうな彼が、いまだに芸能界でしぶとく生き残っている原因が、何となく分かる気さえする。
当時流行っていたとはいえ、この作品ではじめて歌うシーンもある久美かおりの、とんでもないシースルーファッション(両胸のポケット部分だけを除いて、後全部透けているブラウス!)なども、今観ると妙に懐かしい。
もちろん、ジュリーもシースルー着ている。
