TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

暗黒街の対決

1960年、東宝、大薮春彦「血の罠」原作、岡本喜八監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

自動車を検問中の警官が射殺される事件から始まる。
警官が車の中から引きずり出したバッグの中には大量の拳銃が!
すっかり荒れ果てた町として新聞を賑わす荒神市。

その荒神市へ向う列車の中、ストリッパーらしき女性を連れている芸能ブローカー(沢村いき雄)が、隣の男に気安く話し掛ける。内容は警察の悪口。

すると、通路の反対側に座っていた、眼鏡をかけたインテリ風の男(平田昭彦)から「警察が嫌いなのかね?」と問いかけられる。

ブローカー、隣の男からタバコの火を借りようとすると、その胸元には拳銃のショルダーバッグが…。

荒神市に着いたインテリ風の男はタクシーを呼び止め「警察へ」と告げる。

この辺の出だしは絶妙である。

謎めいたショルダーバッグの男(三船敏郎)は、やがて、三ヶ月前、妻を自動車事故でなくしたという鉄雄(鶴田浩二)という男が、町を牛耳っている大岡組のチンピラ(堺左千夫)から因縁を付けられている所に出くわす。

鉄雄の妻の事故死にも、何やら裏があるらしい。

やがて、ガンホルダーの男は、大岡組の親分(河津清三郎)が、市の役人たちを接待し、川の砂利収集の権利を得ようと画策しているキャバレー「青い猫」に現れる。

そこにも、何やら訳ありの美しいホステス、サリー(司葉子)がいた…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

この当時お馴染みの東宝メンバー総出演による、典型的な通俗ハードボイルド作品。
60年前後、福田純監督らと共に作られた「暗黒街シリーズ」の一つで、内容は大体、どれも似たり寄ったりのものではないだろうか。

大岡組には対抗する旧勢力、小塚組というもう一つのヤクザグループがある所など、同じ大薮原作、日活の「野獣の青春」などと同じで、現代版「用心棒」といった設定だし、翌年の福田監督の「暗黒街撃滅命令」などにも雰囲気は酷似している。

本作の見どころは、何といっても、ミッキー・カーチスと一緒に大岡組に雇われる三人組の殺し屋(天本英世ら)。
どういう訳か、キャバレーの支配人、柴田(中丸忠雄)から、表面上「歌手」という事で雇われ、キャバレーで歌うシーンがあるのである。

テープに合わせて「口パク」という設定なのだが、物語上、必然性は全くないシーンであり、岡本喜八監督一流の、いかにも人を食った「お遊び精神」が楽しい。

「♪消しちゃえ、消しちゃえ♪」と、殺し屋スタイルのままギターを抱え、真顔で歌っている若かりし頃の天本英世が珍妙!

警察署長に小杉義男、自席に中谷一郎、熱血漢の若き警官に夏木陽介、小塚組長に田崎潤、その子分、弥太に佐藤允といった顔ぶれ。

出来としては「可もなく不可もなく…普通」といった所ではないだろうか。