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絶唱('58)

1958年、日活、滝沢英輔監督作品。

後年、舟木一夫&和泉雅子コンビ、三浦友和&山口百恵コンビで二度リメイクされた「お涙純愛ドラマ」の最初の映画化作品である。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

戦争まっただ中の昭和21年、いまだ封建制度が色濃く残る山陰のとある山里が舞台。

山番の一人娘、小雪(浅丘ルリ子)が、泣きながら両親の住む山小屋に駆け込んでくる所から物語は始まる。

その辺一帯の山の所有者であり、小雪が奉公にいっている通称「山園田」と呼ばれている、園田家のお屋敷で、自分の事が原因となり、旦那様と若様が喧嘩をしているというのであった。

京都の大学に行っている園田家の一人息子、順吉(小林旭)は、父親の仕組んだ政略結婚の相手、橋本美代子(香月美奈子)が父親と共に訪れて来た事を知り、自分は小春が好きなのだと父親に打ち明ける。

後日、学校から帰省した順吉は、父親に、これから自分は裕福な地主の息子として生きるのではなく、自力で働き、小春と生活するために学校を辞めるとまで決意を述べる。

あまりにも身分違いな恋愛、土地一番の富豪としての自分の面子を潰された父親は激怒、順吉は勘当される。

松江の宍道湖近くの経師屋の二階で、順吉と小雪は新しい生活を始める事になる。
慣れぬ肉体労働で、僅かばかりの生活費を稼ぐ毎日が順吉を待っていた。

そんな二人の仲を理解し、励ましてくれるのは、経師屋の老夫婦と、順吉が学生時代から付き合っていた読書会の仲間たちだけであった。

しかし、その仲間たちにも召集令状が届き始め、とうとう順吉自身にも…。

山で生活するものの大半が園田家に依存して生きている土地で暮す小雪の両親は、やがて村八分状態になり、小雪もまた、戦地へ出征した順吉を待ちながらも、毎日つらい力仕事に励むようになる。

戦争で引き裂かれた二人が交わした約束は一つ、毎日、午後3時になると、例えどこにいようとも、お互いに「木挽き歌」を歌い合おう…というものであった。

しかし、そんな小雪にやがて病魔が襲いかかる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

典型的な「お涙頂戴映画」であり、これでもかとばかりに、不幸が二人に降り掛かる。
そうした逆境の中、二人の純愛は熱く燃え上がって行くのだが…。

小雪を演ずる若き浅丘ルリ子は、本当に可憐で、ラストは涙を禁じ得ない。
文学好きなエリート学生を演じる小林旭も、その後のイメージを知る者の目から見れば、最初、多少の違和感を感じないでもないが、この当時はまだイメージが固まっていなかった時期らしく、それなりに、線が細い純真な若者に見える。

本作でも登場する、二人を仲睦まじい山鳩に例えたイメージは、この後、舟木一夫版では彼自身が歌う主題歌の歌詞にも使われ、一世を風靡する事になる。

歌といえば当然、本作では、小林旭と浅丘ルリ子が、二人の愛の証「木挽き歌」を劇中で披露するのが見どころ。
二人とも、この頃からすでに「歌う映画スター」なのである。