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猫と鰹節 ある詐話師の物語

1961年、東宝、堀川弘通監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ヒゲ面の森繁の演説から映画は始まる。

とかくこの世は「金」次第。
その金に関する話をしようというのである。

大阪駅で、岡山から来た一人の商人(西村晃)に近づいてきた男が一人。
うまい儲け話しがあるという。

半信半疑ながら、その男に付いて行って場末の旅館に入った商人、その後に続く、男の仲間らしい連中が数名。
商人は数時間後に青い顔で旅館を飛び出して来て、ちょうど「犯罪撲滅」の看板を設置中だった警官二人に泣きつく。
商売用に持参してきた30万をすっかりだまし取られたのだった。

男らは「詐話師(詐欺師)」であった。

商人に声をかけたのは白神善六(森繁久彌)、その仲間は、アカッパチ(三木のり平)、卵豆腐(千葉信男)、バクダン(森川信)、そしてまだ若いポチ(ミッキー・カーチス)ら。

商人からだまし取った30万を分け合っていたメンバーたちをうらやむポチ。
彼はまだ半人前なので、ほとんど分け前をもらえないからだった。

そのポチがカモを発見したとメンバーたちに話し出す。

バー「リラ」のママ、明子(草笛光子)が店を売りたがっている事情を、タクシーの運転手をしているポチが小耳に挟んだ…というのである。

脈ありと判断した善六たち、さっそく大掛かりな芝居を始める。

下着メーカーの営業部長に扮した善六ら、言葉巧みに明子に近づき、うちの社長が店を買うかも知れないと持ちかけ、かねての旅館に招く。

現れた社長(実は卵豆腐が扮したもの)は大の博打好き…と明子に吹き込んだ後、その社長からインチキ博打で、三百万の大金を奪い取ろうとけしかける。

自分自身が騙されているとは露とも疑わない明子は、善六らが最初にやっていたインチキがあまりにうまく行くのを見て、とうとう自分の貯金二百万を銀行からおろして来て、そのインチキ賭博に参加する。

結果はいうまでもなく、明子は虎の子の二百万を彼らにすっかり持ち去られてしまう。
さらに、まだ騙されていると気付かない明子は、同情する素振りを見せる善六と一夜を共にする事に…。

そんな明子は、後日、化粧品会社のお得意さま慰労旅行に紛れ込んで浮かれていた善六を、とある旅館で偶然発見する。
金を返せと明子に詰め寄られた善六は、とうとう開き直る。
ない袖は振れないというのである。

その頃、慰安旅行に参加しなかった卵豆腐は、地元で女物のバッグを盗んだ末、店主と警官、さらに偶然再会した、あの岡山の商人からも追い掛けられ、通天閣の上に逃げ込んだあげく、最後には足を滑らせ墜落死してしまう。
大阪に戻って来た善六は、死んだ卵豆腐には、ストリッパーをしている一人娘(団令子)がおり、彼女は多額の借金に苦しんでいる事を聞かされる。

そんな善六のアパートを訪れて来た明子、思い付いたという大儲け話を伝授する。
そのアイデアに乗る善六。

やがて、大阪中の「詐話師」が一同に集まり、盛大な卵豆腐の葬式を済ませると、一斉に馴染みのインチキ博打の客漁りを始める。

大旅館に集結して始まった、何十組という「インチキ博打」!

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

全編「騙し」のアイデアの連続、泥臭い人情話と見せ掛けて、実は…、という趣向が面白い。
クライマックスの大人数でのドタバタも見ごたえがある。

善六と同じアパートに住む「鶴やん」に伴淳三郎、その恋女房、愛ちゃんに市原悦子、善六と同棲している女に乙羽信子、ストリップ小屋に現れるチンピラ「竜巻の寅」に小池朝雄…と、ゲスト陣も多彩。

ストリッパーの娘を助けようと、森繁が「フーテンの熊」なるヤクザに成り済ますシーンは珍妙。
ちなみに、渥美清の「フーテンの寅」が映画に登場するのは1969年から。

そして、有名な「スティング」が登場するのは1973年である。