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喜劇百点満点

1976年、東宝映画、松林宗恵監督作品。

森繁久彌芸能生活40周年記念作品でもある。
「社長シリーズ」「駅前シリーズ」ゆかりの仲間たちや、多くの俳優たちが友情出演している。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

代々木で北辰予備校の学長をしている北上(森繁久彌)は、駅員、野口(小林桂樹)とは戦友同士、毎朝、代々木駅で挨拶を交わしあっている。

そんな北進予備校に一人の業界紙の記者(左とん平)が取材に訪れてくる。
受験シーズン真っ最中だったからである。

しかし、北辰予備校の講師陣は金だけで集まっているようなタレントまがいの人物ばかり。
数学の美川(西村晃)、外国語の石岡(藤村有弘)、物理の太田(谷村昌彦)、現国の戸成(牟田梯三)など。

そんな予備校に通う生徒たちの方も、これまた落ちこぼればかり。
ハーレーにまたがり、いつももめ事を起こしている問題児「ジョーズ」こと、原口孝太郎(草刈正雄)。
13浪で、今なお東大法学部を目出している「万年さん」こと西原啓作(三木のり平)。
北上に恋心を抱いているような素振りを見せる河口時子(研ナオコ)など…。
大半の学生は、北辰予備校の授業内容や経営方針に不満をつのらせていた。

実は学長たる北上自身も、予備校がある自分の土地で、本当はスーパーマーケットを開業したかった男であった。今でも、その夢は捨てていない。

歯医者を兼業している現理事長(淡島千景)と、その弟で、現事務局長(フランキー堺)の口車に乗せられ、予備校を開き、自身は名前だけの学長に祭り上げられているだけなのであった。
当然、今現在でも、北上本人は予備校経営には乗り気ではない。

自宅では妻(浜木綿子)がアパート経営をしており、北上には、長男、洋平(黒沢年男)、長女、宏子(榊原るみ)があった。
洋平は、自宅アパートに住んでいる万年さんの妹で、スチュワーデスの静子(坂口良子)と付き合っていた。万年さんの所へ、良く遊びに訪れていた孝太郎も静子にひかれていたが、洋平との事は知らなかった。
妹の宏子の方も、同じアパートに住む早川(堀口正美)という色男と良い仲であった。

そんな中、息子の受験を案じ、気仙沼から上京してきた原口の父(伴淳三郎)と妊娠中の後妻(春川ますみ)は、駅前で開業している病院を継がせるために、これまで予備校に大金を寄付して、何とかして孝太郎に、青松大学の医学部に入学させたがっていたのだが、当の孝太郎は3浪目の今年も受験に熱が入らない。
午前中の試験だけ受けて、午後は受験会場を抜け出してしまう始末。

国立一期の合格発表日、トランシーバーで各大学に送り込んだ職員からの連絡を待ち受ける予備校側。
しかし、全ての大学で「サクラチル」という惨澹たる結果に終わる。

そんな結果に、生徒たちの不満は、学長である北上個人に向けられるようになる。
身の上相談係になった北上に嘘の相談を持ちかけ、自宅アパートへ来させた上、隣から新婚夫婦のあられもない声が聞こえると訴える男子生徒。
北上はついつい、その罠にはまって、スケベ心を出してしまうが、生徒たちのいたずらと分かり大激怒!
しかし、その場に現れた首謀者の孝太郎から、経営態度を逆になじられ、北上はひどく傷付いてしまう。

そんな孝太郎の、今は亡き友人の妹、青木律子(池上季実子)は、長年騙されているとも気付かず早川と付き合っており、妊娠した後振られ、自殺未遂を起こしてしまう。

それを知らされた孝太郎は逆上し、北上のアパートへ駆け付け、早川に殴り掛かる。
それを止めたのは、たまたま北上家を訪ねていた野口と北上本人。
貴様らなんかに自分の気持ちが分かってたまるかと帰りかける孝太郎に、こっそり近づいた野口は意外な話を聞かせる。
北上自身も、昔、友人の妹が男に騙されたあげく死を選び、その遺児を自分が引取って育ててきたのだという。
洋平がそうなのだった。

孝太郎は、北上の意外な一面を知り、徐々に彼に対する拒絶反応を薄めて行く…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

料亭の女将役で新珠三千代、謎の老人役で有島一郎、看護婦長役で山岡久乃、医者役で竹脇無我、警官役で松山英太郎、校医役で栗原小巻、不動産屋役で藤岡琢也、その娘役で和田アキ子、生徒役で堺正章…など、次から次へと、お馴染みの顔ぶれが登場してくる楽しさ!

北上と野口が開く「戦友会」と称する料亭での会席では、亡くなった加東大介の遺影が飾られている…という配慮も泣かせる。

森繁本人は、さほど老けたように見えないのに、他の昔の仲間たちはめっきり老けて見えるのが不思議。

喜劇としてはまずまずの出来の作品だろうが、豪華な顔ぶれだけを観ているだけでも、十分に満足させられる。