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はりきり社長

1956年、東宝、笠原良三脚本、渡辺邦男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

太陽自転車社長、大神田平太郎(森繁久彌)は、朝から大はりきり!
庭先でパンツ一丁になり、エキスパンダー運動。
大恋愛の末射止めた愛妻、千枝子(久慈あさみ)から、その勇姿を写真に撮ってもらう。
千枝子は元歌手(旧姓春山)だった。
その彼女の歌がラジオから流れる中、朝食でゆで卵を五つも食べ、別れに彼女の顔に十文字キスを交わした平太郎、田舎言葉丸出しの素頓狂なお手伝いさん(塩沢登代路=とき)をしかりとばしながら出社する。

その頃、会社では、千枝子からの紹介で入社を希望してきた高野春江(司葉子)と、社長秘書の須山(小林桂樹)が出会っていた。
須山もカメラマニア、さっそく、彼女をモデルに写真を撮らせてもらい、いつものDPE屋へ。
そこで油を売っている所を、ちょうど出社してきた平太郎に見つかり、叱られながら社長室へ。
元、外資系の会社にいたこともあり、英語に堪能だという春江をその場で採用、さっそく渉外部配属に決定する。

そして、各部署の部長を社長室に呼出した平太郎、いつも通り全員に活を入れ始める。
宣伝部長(坊屋三郎)、輸出部長(森川信)、そして耳の遠い製品部長(小杉義男)らは皆、聞き飽きた訓示ながら一応神妙な様子。
唯一人、お腹を下しているため遅れてきた小島営業部長(三木のり平)は、そのだらしない服装を目にした平太郎からこってりと絞り上げられる。

さらに工場へ出かけた平太郎、近々、社員用の食堂や娯楽室、風呂などを兼ね備えた設備を作ると社員たちに約束する。
その地鎮祭では、小島部長が支える杭を、平太郎が打つまねをする「くわ入れ式」を執り行なうのだが、小島部長が、振り降ろされる槌を怖がりまごまごするので、見兼ねた須山も加わり、何だか終いには「餅つき式」みたいになってしまう。

その後、平太郎と須山は、大株主でもある大東産業社長の千石(藤原鎌足)を訪ね、5000万の融資を願い出る。
千石は馴染みの料亭に二人を誘い、話もそこそこに、座敷に三味線を呼んで自慢の義太夫を唸り出す。

退屈極まった平太郎は、須山に後を任せ、その場を退散。
苦りきる須山は、廊下でばったり春江と出会う。
その料亭は、彼女の自宅だったのだ。

相変わらず義太夫に夢中になっている千石をよそに、若い二人は部屋で話を弾ませる。
葉子が見せるアルバムには、彼女の写真がたくさん貼ってあった。
千石の息子たかお(平田昭彦)から撮ってもらったという。
その話を聞かされ、たかおにライバル心を燃やす須山であった。

その頃、平太郎の家では、妻、千枝子が郷里の母親の体調が悪いと帰省してしまい、独り身になった平太郎は、欲求不満のため、会社でもイライラ、ヒステリー状態になる。

そんな中、太陽自転車では「ミス・サイクル」を選ぶコンテストを開催する。
平太郎以下、部長たちが審査する中、5365人の応募者の中から選ばれた15名の美女たちが、水着姿で自転車に乗ってみせる。

プロポーション審査では、小島部長が水着美女の身体をメジャーで計測しているのを見兼ねた(うらやんだ?)平太郎が、自ら乗り出してきて、何の目的なのか、せっせと美女たちの身体の部分部分を精密に計測して行く。
終いには、平太郎、のぼせて鼻血を出す始末。

そうして「ミス・サイクル」に選ばれたのは、小悪魔的な中山桃子(中田康子)であった。
社長室に招かれた桃子は、いきなり、その場で洋服に着変え始め、目のやり所に困る平太郎に「これからは、パパと呼んでいい?」と、いきなり甘えはじめる。

ちょうど、そこへ現れたのが、お得意先である米国「マーナー・ブラザーズ産業」のジョージ(ジョージ・ルイカー)。
女たらしのジョージは、その場で桃子に夢中になってしまう…。

ジョージの提案で、桃子等と共にサイクリングに出かけた平太郎だったが、当のジョージが次の契約を一から考え直したい…というので気が気ではない。

やがて、帰宅してきた千枝子は、偶然、DPE屋で出会った須山の持っていたコンテスト時の写真から、平太郎の浮気を疑い出す…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

とぼけたお手伝いさん役の塩沢ときと、耳が遠いので、絶えず耳に手をやり、「はぁ〜?」と平太郎に聞き返す小杉義男のキャラクターが秀逸。

逆に、森川信と坊屋三郎は、その面白さが全く生かされていないのが惜しい。

秘書の須山と春江が最終的に結ばれる…という展開も珍しいのでは?

ピクニック先で、若者が踊るマンボに対抗し、一人「炭坑節」を踊って笑われる森繁の、「だって、わし、マンボなんて知らんもん…」という中年男特有の嘆きも可愛い!

後半には、森繁と仲直りした久慈あさみが寝室で唄う貴重なシーンも登場する。

人気シリーズものは、その初期の頃が最高に面白い…という事を実証したような快作になっている。