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昭和残侠伝 死んで貰います

1970年、東映東京、マキノ雅弘監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

若きヤクザ、花田秀治郎(高倉健)が、賭場で、壷振り人の怪し気な動きに首を傾げ、早々に立ち去るが、後を付けて来たヤクザ連中から袋叩きにあう。
本当にイカサマを見破ったら、自分の手をくれてやると、先ほどの壷振り人、熊倉(山本麟一)が秀治郎に捨て台詞を残して去って行く。

傷だらけになり、大きな銀杏の木の下で雨に濡れていた秀治郎を発見したのが、買い物帰りの芸者の卵、幾江(藤純子)。
無邪気に、持っていた酒を秀治郎に飲ませたばかりか、置き屋に泊めてやろうと言い出す。

そんな出合いから三年後、いっぱしのヤクザに成長した秀治郎は熊倉の賭場に舞い戻り、いかさまを見破ったと、熊倉の左手をドスで貫き、そのまま刑務所送りとなる。

関東大震災 を経て昭和2年、秀治郎は、世話になっていた親戚の寺田(中村竹弥)の所に姿を現す。
その頃、深川一帯を仕切っていた寺田組は、新興の駒井組と対立するようになっていたのだった。

寺田は、秀治郎の実家である料亭喜楽の板長、重吉(池部良)と、今や立派な芸者、幾太郎となっていた、かつての幾江を呼び寄せ、秀治郎に会わせる。

さらに、重吉と共に実家に戻った秀治郎、獄中で知った父、清吉(加藤嘉)の死のみならず、実の妹のお弓までその後他界していたばかりか、継母のお秀(加藤道子)も、失明していた事実を知らされる。

秀治郎は、そんな母親に、あえて息子としてではなく、菊二と名乗って、喜楽の板場で働くようになる。

すっかり、かたぎの生活が馴染んで来たかに思えた秀治郎だったが、亡き妹の夫で、今や喜楽の主人となっていた義弟が、相場に手を染め、あろう事か、そのための資金を駒井組から借りていた事から、とうとう、喜楽の権利書を駒井に奪われてしまう。

そして、それを買い戻す交渉に出かけた寺田が、帰り道で襲撃され絶命してしまう。
直接手をくだしたのは、寺田組の用心棒になっていた、あの熊倉であった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

全体的に落ち着いて、しっとりした情感がていねいに描かれている。

秀治郎を取り巻く人間たちが、皆、心根の優しい大人たちばかりで、それが、逆に主人公の向う悲劇性を浮き彫りにして行く。

特に、絶えず秀治郎を真人間に戻そうと支え続ける重吉を演じる池部良と、ひた向きに秀治郎を愛して行く幾太郎を演じる藤純子が素晴らしい。

正に、名作の名に恥じない作品の一本だと思う。