TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

ザ・タイガース 世界はボクらを待っている

1968年、東宝&渡辺プロ、和田嘉訓監督作品。

グループサウンズブームの頂点に立つ超人気グループで、ジュリー(沢田研二)やサリー(岸部一徳)が所属していた、ザ・タイガース主演の音楽映画第一弾。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

日劇で「ウエスタンカーニバル」が開かれている。
もちろん、人気の中心はジュリーを擁するザ・タイガース!

その頃、地球上空をサイケデリックな色彩に色どられたUFOが飛んでいた。
地球を物珍し気に見つめるアンドロメダの王女、シルビー(久美かおり)と、その侍女ベス、運転手のヘラクレス(天本英世)の三人が乗っていたのだが、「ウエスタンカーニバル」の状況をスクリーンに映していた円盤は、その強烈な音のせいで計器が狂いだし、UFOは日本の海岸に不時着してしまう。

気がついたベスとヘラクレスは、シルビーがいない事に気付く。
当のシルビーは、好奇心のままに日劇に出かけてしまい、楽屋裏でタイガースを待ち受けるファンたちに揉まれる内に、階段から落ちて気絶してしまう。

それに気付いたジュリーたちは、彼女を病院に連れて行く。
しかし、後日、見舞いに訪れたタイガースの面々は、病室で彼女の居場所を探し当てたベスとヘラクレスに出くわす。

ちょうど、地球語を話せる言語カプセルをシルビー飲ませようとしていたベスたちの行為を、毒を飲ませていると勘違いしたメンバーらによって、ヘラクレスたちは追い出されてしまう。

UFOに戻ったヘラクレスたちは、シルビーの結婚相手とされていたナルシス殿下(三遊亭円楽)が派遣した宇宙警察の三人(実はロボット)によって、冷凍されてしまう。

やがて、病院に現れた宇宙警察の三人は、シルビーを連れ出そうと、彼女の寝ているベッドを外へ運び出すが、そのベッドは一人でに動き出し、タイガースの面々が衣装合わせをしていたブティックに到着する。

そのブティックで、宇宙警察の三人と大立ち回りの末追っ払ったタイガースの面々は、シルビーを守るために、彼女を男の子に化けさせ、グループの付き人として共同生活を送る事にする。

しかし、その秘密に気付いたのが、タイガースファンのお嬢様(松本めぐみ)。
その情報を、女性週刊誌に密告してしまう。

地方巡業の後、戻って来た新宿ACB(アシベ)でファンたちのつるし上げを受けるタイガース。
マンションに戻り、善後策に苦慮するメンバーたちの会話を背に、シルビーは一人UFOに戻り、ナルシス殿下に頼み、元の姿に戻したもらったベスたちと共に地球を後にする事にする。

しかし、シルビーの恋心を知っているベスが、王女が一番好きだと告白したジュリー(沢田研二)を、武道館から連れ出して、そのままUFOに乗せ、宇宙に飛び立ってしまう。

武道館では、ジュリーがいないまま、新曲発表会が始まってしまう。
リーダーのサリー(岸部おさみ=現一徳)が、代わりに歌い出す…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

信じられるだろうか?今や、日本映画の貴重な脇役の一人、岸部一徳は、かつて、立派なアイドルだったのである。
彼の弟、岸部シローも、やがて、タイガースのメンバーとなる。

登場するUFOは、間違いなく、ゴジラ映画で有名な「X星人の円盤」そのものである。

そう、この作品は、アイドル映画であると同時に、立派な東宝特撮映画でもあるのだ。

ジュリーの熱狂的なファンの女子高生に小橋玲子、その父親で、タイガースの監視をする事になる警視庁の刑事に小沢昭一、令子の弟は小学生の穂積ペペ、松本めぐみのお供の運転手は小松政夫である。

名曲「花の首飾り」をはじめ、全編、タイガースのヒット曲が繰り広げられるSFファンタジー。
戦前から、数多くの音楽映画を作っていた東宝撮影所の、おそらく末期の音楽映画に当たるのではないだろうか。

日本の音楽映画、ならびにタイガースやジュリーファンなどには必見の映画。