1959年、東映東京、村山新治監督作品。
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ある土曜日の午後、街角で恋人と待ち合わせる刑事、動物園に子供を連れて行っている刑事、4人目の赤ん坊の誕生を病院で待ち受ける刑事など、平穏な日常を描く所から物語は始まる。
川べりで野球をやっていた少年たち二人、飛んで来たボールを捜して草原を進む内に、川に近付き、そこで、新聞紙に包まれた、胴体だけの死体が浮かんでいるのを発見する。
現場に集結して来た刑事たちは、死体が子宮の手術痕のある女性、包装に使われていた新聞から、その販売地域を江東区一帯と絞り込む。
さらに、そこから少し離れた反対側の岸で両足を発見。
その指先に、ペディキュアが塗ってあった事実を手がかりに捜査を開始する。
その後、新荒川橋から何かを川に投ずる怪し気な男があった事を、地元の交番から聞き付けた刑事たちは、その男が乗っていた車のバックナンバーを上二桁だけ知る事が出来た。
林刑事(花沢徳衛)は、さっそく、その車の洗い出しを開始する。
やがて、両手、頭部が発見されるに及び、被害者は美容整形の過去を持つ小沢初江と判明。
彼女と付き合っていた大学生、成田(今井俊二)を参考人として拘束する事になる。
しかし、彼には、事件当日、金持ちの令嬢令子(佐久間良子)とデートしていたというアリバイがあった。
百台近く調べ上げて来た車のナンバーから浮かんで来た男の名は、吉岡正。
四人目にしてはじめて授かった男の子に「正」という名前を考えていた林刑事は、ちょっと複雑な顔。
しかし、その吉岡は、待ち受けた刑事の手を振り切ると、車で逃亡、途中、事故を起こし死亡してしまうのであった…。
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小さな証拠から、コツコツと犯人像を絞り込む刑事たちの姿を、時にユーモアを交え、淡々と描いた刑事物語の秀作。
犯罪ものというと、大袈裟なアクションに頼ったり、トーンが暗くなったりしがちだが、本作ではその辺、実に見やすく仕上げてあり感心した。
奇を衒わない地道な犯人捜しの面白さにくわえ、刑事たちの人柄が、わざとらしくない程度に、さらりと描き加えられている所が、本作を面白くしている要因だと思われる。
若き刑事に南広、部長刑事に掘雄二、他にも、菅井きん、加藤嘉、沢村貞子らがさりげなく顔を出している。
最後に、今は亡き意外な俳優さんの若き日の姿が登場、ちょっと驚かされる。
