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腹貸し女

1968年、若松プロダクション、若松孝二監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

代議士の小野寺(津崎公平)は、由緒ある家を受け継ぐ子孫を欲しがっていた。

そして、長年連れ添っている愛人のイヨリ(伊地知幸子)に人工受精を試みようと、産婦人科医の権藤の所へ診察に行かせる。
しかし、実は、権藤はイオリと関係があったのである。
イオリは、小野寺の子供を生みさえすれば、小野寺の正式な妻としての立場を得られると、権藤と共に期待していた。

小野寺の子種を取る機会は一回しかないという。
少しでも、子供ができる可能性を増やすために、小野寺は、同居しているイヨリの妹、麻実(門麻実)にも、姉と同時に人工受精を受けるように、イオリの口を通して持ちかけさせる。

原宿で住み込みの新聞配達をしている青年、島内ミナオ(吉沢健)と、恋人付き合いをしていた麻実は、突然の申し出に困惑する。

しかし、やがて、麻実は2000万で、その依頼を受け入れる事にする。
その告白を聞いた島内は、「腹貸し女だな」とつぶやくのだった。

しかし、麻実の身体を診察した権藤は、すでに麻実が妊娠している事を知り、イオリに告げる。
すでに妊娠3ヶ月の麻実と自分が同時に人工受精すれば、妹の方が先に出産してしまい、小野寺の家は麻実の子が継ぐ事になってしまう…。

長く不毛な愛人生活を耐えつづけて来たイオリは、妹を激しく恨むようになる。
そんなイオリの気持ちを考えたのか、権藤は、麻実に黙って中絶手術を施す事に…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

GSのジャックスの音楽に乗せて、独特の世界が展開して行く。

モノクロとカラーの映像が交差して行く。

大胆な画面合成が、どこか退廃ムード漂う、当時の若者の生態を表現する。

エロス表現としては、今の感覚で観るとおとなしく、むしろ、上品な感じさえする。

一つ家に住む、血の繋がらない男女間の愛憎劇と、どこか無気力な若者像とを絡めて描いた、ちょっと風変わりな人間ドラマ。

不安定な70年代直前の時代の雰囲気が良く出ている。