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拝啓天皇陛下様

1963年、松竹大船、野村芳太郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

昭和6年、岡山の新兵検査で棟本博(長門裕之)は一人の風変わりな男と出会う。
自分の名前さえ満足に書く事ができない山田正助(渥美清)であった。

この時以来、二人は互いに「ムネさん」「山ショー」と呼び合う、無二の親友になる。

すでに、妻子持ちだった鶴西(桂小金治)らと共に、新兵時代は、二年兵の原(西村晃)にしごかれながらも、あっという間に二年兵になり、山ショーは一人の新兵を紹介される。

代用教員の経歴を買われ、山ショーに文字の読み書きを教える役割を、上官から依頼された垣内(藤山寛美)であった。
やがて、少年倶楽部が読めるようにまでなった山ショーは部隊を卒業する事になる。

しかし、喜ぶ他の兵隊たちとは裏腹に、山ショーは一人不機嫌であった。
彼は、軍隊での生活の方が性に合っていたからである。
貧困にあえぐ巷には、学のない山ショーが腹一杯食える仕事などあるはずもなかった。

郷里の津山で妻、明子(左幸子)との新婚生活を送っていた棟本は、やがて、再び赤紙をもらう事になる。

軍隊に戻った棟本は再び、そこで山ショーと出会う。
山ショーは水を得た魚のようにいきいきと生活しており、やがて、秋の軍事訓練を見学に来られた天皇陛下(浜口庫之助)の優し気なお姿を見かけた事から、急速に天皇に対し強い親近感を抱くようになって行く。

またしても、軍隊から出されそうになった山ショーは、「不敬罪」とも知らず、天皇直々に手紙を書こうとさえしていた。あわてて、それを破り捨てる棟本。

その後、小説家として、多少名が売れるようになり、九州の炭坑へ講演をしにいった棟本は、聴衆の中から声をかけてくる山ショーの姿を発見する。彼は炭鉱夫として働いていたのであった。

このようにして、それからというもの、棟本は事ある事に山ショーと日本各地で出合いと別れをくり返しながら、日本は戦後へと移り変わって行く。

昭和22年、土浦で生活していた棟本のあばら家に訪ねて来たのは、ヒゲボウボウの山ショー。
彼はその家の居候になりながら、同じ長家に住む未亡人に恋をしてしまう。

だが、一方的な思い込みとは裏腹に、あっけなく振られた山ショーは、その後数年が経った頃、一人の女性を伴って、東京近郊に移り住んでいた棟本の家を訪れてくる。

井上聖子(中村メイ子)と名乗るその女性は、山ショーと所帯を持つ事を承諾してくれたというのだった。
我が事のように喜ぶ棟本夫婦。

だが、それからしばらくして彼ら夫婦が新聞記事で知ったのは、その幸せ絶好調だったはずの山ショーの事故死の事実だった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

面白ろうて、やがて哀しき存在…をやらせたら天下一品の名優、渥美清の魅力を最高に引き立てた傑作。

部隊にいる間中、彼の事を心配し、親身になって世話してくれた後、やがて、中国の易俗河という場所で戦死する上官、堀江正義を演ずる加藤嘉、生真面目で誠実な初年兵、垣内を演じる藤山寛美、そして、全編に渡り、山ショーを優しく見つめる役所を演じる長門裕之の演技が実に素晴らしい。

一人の無学で粗暴ながらどこか憎めない男、山ショーを通して見つめた、昭和史…という形になっている。

劇中、裸の大将こと、本物の山下清画伯本人が登場する珍しいシーンがあったりする。

タイトルや後年の渥美清のイメージにとらわれずに、素直に観てもらいたい名作である。


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