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激動の昭和史 軍閥

1970年、東宝、堀川弘道監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

226事件勃発後、軍部の力は強まって行く。

この作品は、東條英機(小林桂樹)を中心とする内閣が出来、太平洋戦争に突入していく時期の日本の姿を、当時の記録フイルムや、過去の円谷英二の手による特撮シーンなどを織りまぜて描いたドキュメンタリータッチの物語である。

ドラマは、アメリカと開戦すべき…の論に傾いて行く、海軍と陸軍の意地の張り合い。
何とか、平和的に、アメリカとの交渉続行を願う人たち。

しかし、結局、真珠湾攻撃は決行される。

そうした状況を大本営発表で聞かされる庶民側の代表として、本作では、毎日新聞社の政治部の面々が登場する。
最初から、その一方的な報道の仕方に批判的な姿勢を持っていた高倉(岸田森)は、やがて、特高に引っ張られてしまう。
そうした中、南方の前線へ視察に行った新井(加山雄三)は、大本営発表とは全く逆の悲惨な現状を知る事となる。
日本に戻った新井は、上司に、真実を国民に伝えるよう働きかける。

しかし当時、反戦的な言論を発表するマスコミ機関には、政府が弾圧をくわえていた背景もあり、上司もなかなか実行に移せない。

そうこうする内に、ますます、南方での日本の被害は増加して行く。
サイパンの日本人女性たちも、次々と、崖から海に身を投げて自決して行っていた。

とうとう、勇を奮って、毎日新聞社は、新井に、真実のレポートを書かせる事を決定する。
国民の反響は大きかったが、その内、新井には、懲罰赤紙が届く…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

この時代の、おおまかな歴史の流れは掴む事はできるが、人物描写などが皆おざなりで、ドラマとしては今一つ盛り上がれない。
後半、何だか、東條英機だけが悪かった…かのような印象になっている所にも、若干のひっかかりを覚える。
本当にそうだったのだろうか?

山本五十六に三船敏郎、米内光政に山村聡、毎日新聞社の編集総長に志村喬、その他にも、藤田進、平田昭彦、天本英世、佐原健二、久保明、黒沢年男ら、東宝お馴染みの顔ぶれが総登場する。

中でも、本作中一番得な役をもらったな…と感じたのは黒沢年男である。

懲罰召集でフィリピン前線に飛ばされた新井が出会う特攻兵として登場するのだが、彼は、勇気ある報道をした事で、周りからチヤホヤされていた新井に冷たく言い放つ。

「新聞は、最初の内は、内閣を支持していたのではないか?敗戦濃厚になったからといって、急に反戦記事を書くのはどういう事か?負けているから戦争反対?それなら、勝つ戦争だったらしても良いのか?!」

現在にもそのまま通用する鋭い主張である。

この言葉だけが、観終わった後も、重く心に残った。