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若い人('62)

1962年、日活、石坂洋次郎原作、西河克己監督作品。

37年東京発声、52年東宝に次ぐ、3回目の映画化である。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

本作では、九州長崎のミッションスクールが舞台になっている。

数学教師、間崎慎太郎(石原裕次郎)は、日頃から授業に遅刻しがちなばかりか、自分に反抗的な態度を示す生徒、江波恵子(吉永小百合)に手を焼いていた。

間崎は、同僚の歴史教師、橋本スミ子(浅丘ルリ子)にほのかな愛情を感じていたのだが、橋元先生の方は、いつも怒ったような堅い表情を崩さなかった。帰宅時、間崎は当の橋本先生から江波が書いた論文を手渡される。

その文章には、娼婦まがいの生活をしていた母親ハツ(三浦充子)の私生児として生を受け、父親を欲している恵子の本心が綴られていた。
恵子は、間崎に父親を見い出していたのであった。
同じ女性として、それに気付いていた橋元先生も、間崎を憎からず思っていながらも、素直にはなれないでいた。

修学旅行で、東京を訪れた間崎ら女子高生たち。

ある日、旅館に帰らぬ恵子を心配して捜しに歩いていた間崎は、雨の中、路上で一人佇む恵子を発見する。
恵子は、自分にはどこへも行く宛がない…と、間崎に抱き着いては泣き始める。
彼女は、旅行出発の朝、母親が船員の愛人と同衾していた事実を見ていたのであった。

その後、学校には、恵子が妊娠したとの噂が流れ始める。
どうも、その噂の発信元は、当の恵子自身であるらしかった。

そんなある夜、学校医も勤める山川(大坂志郎)の病院に、恵子がやってきて、自分は妊娠していると告げる。
もちろん、それが、彼女の嘘である事を一目で見破った山川は、その事を後日、間崎に報告する。

間崎は、思いきって、飲み屋をやっている恵子の家を訪れてみる事にする。

そこには、船員たちの酔客を相手に、すっかり酔ってだらしなくなっていた恵子の母親と、愛人の船員、健吉(北村和夫)、そして恵子の健気な姿があった。

言葉もなく立ち尽くす間崎。

そんな中、健吉が他の船員たちと喧嘩を始める。
それを仲裁しようと、乱闘の中に入った間崎は、逆に殴られ、怪我を負い、そのまま、恵子の家の世話になる事になってしまう。

そんな間崎を見舞いに訪れた橋本先生の口から、学校で、あらぬ噂が立っているとの事実を立ち聞いたハツは、橋本先生に嫌みを言い返すのだった。

そんな母親の態度に心を傷める恵子の辛い立場を思い遣り、自分には橋本先生が必要なんだと告白して、怪我も癒えぬまま、学校に登校する間崎の姿があった。
表面上、明るく、その姿を見送る恵子…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

複雑な家庭環境で育った一人の少女のゆれ動く心。
それを見守る青年教師と同僚の女教師の姿を描く真面目な内容の文芸作品である。

明るい九州を舞台に設定したせいか、さほど陰鬱な印象にはなっていないのが救い。

恵子を演じる、若き日の吉永小百合の輝くような美しさが印象的。