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子連れ狼・死に風に向う乳母車

1972年、勝プロ、三隅研監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

渡し船の後ろに乳母車を繋ぎ、川を渡る拝一刀。
その船に同乗していた、身を売られたらしき若い娘が荷物を川に落とす。
慌てる娘だったが、後ろの乳母車に乗っていた大五郎がその荷物を拾ってやる。
一刀は船の後ろから付いてくる、三本の竹筒に気付いていた。

後刻、排便中の大五郎の目の前で、一刀は付け狙っていた三人の忍者を切り捨てるのだった。

場所は変わり、茶店で休んでいる渡り徒の面々。
一人を除き、昼間っから酔っているらしい。

彼らは、酔った勢いも手伝い、たまたま通りかかった中間と母娘らしき旅人を襲う。

遅れてその現場に近付いた侍は、中間と仲間に犯された母娘を、その場で情け容赦なく斬り捨ててしまう。
さらに、酔った仲間にクジをひかせ、負けた一人(山谷初男)を惨殺する。

仲間が酔って犯した醜態よりも、侍としての面目を保つためにやったという。

しかし、その現場を、偶然通りかかった一刀に見られてしまう。

その正体を見抜いた侍、孫村勘兵衛(加藤剛)は、口止めを口実に一刀に勝負を挑むが、その真摯な立ち居振る舞いに真の侍魂を見た一刀は、その勝負を途中で止めてしまう。

旅館で逗留中の一刀親子の前に、渡し船で出会った少女が駆け込んでくる。
連れの男に部屋で教われ、思わずその舌を噛み切って殺害して来たのだった。

捜査に訪れた役人からは、うまく娘を匿ったものの、酉蔵を名乗る女(浜木綿子)率いるヤクザの一党が訪ねてくる。女を引き渡せというのであった。

頑として、娘を渡そうとしない一刀は、けじめをつけるために、やくざたちの「ブリブリの刑」を、娘に代わって、自らが受けると言い出す。

水責めの後、逆さ吊りのまま竹で打たれる「ブリブリの刑」を耐え抜いた一刀は、その人間性に惚れ抜いた酉蔵から、奥の隠し部屋に案内される。

そこにいたのは、かつて、気の触れた主君の介錯を一刀に依頼し、暴れる主君の首と共に、それを押さえていた自分の左腕をも斬り捨てさせた老家老であった。

彼から、沢渡玄蕃(山形勲)殺害を依頼された一刀は、その依頼を引き受ける事にする。

一方、そういう事情とは知らない沢渡玄蕃は、自分も別件で一刀に仕事を依頼するのだったが断られた事から、自分が狙われているのではないかと気付く。

沢渡の用心棒二人を次々と一刀に倒された沢渡は、数百人の護衛を伴い、地蔵ケ原に一刀を呼び寄せる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

アクションの連続で魅せた、前作「子連れ狼・三途の川の乳母車」(1972)に比べると、がらりと趣が変わり、本作でのアクションは控えめになっている。

しかし、その分、ラストの一対数百のアクションは凄まじい。

さらに、それに続く、拝一刀対孫村勘兵衛の一騎討ち!
真の侍同士の戦いの末に、孫村が最期に語る過去が哀しい。

加藤剛演ずる孫村の、侍としての生きざまが強く心に残る秀作。
子連れファン、時代劇ファン必見である。

劇中、有名な「♪シトシトピッチャン、シトピッチャン…」のメロディが、さりげなく流れるのも嬉しい。